依頼者は佐久保様ご家族(ご両親+姉)。お姉さまと妹(対象者)は仲のいい姉妹で恋愛、仕事のこと何でも相談していました。
ただ一つ気になることは、妹が最近交際している彼氏のことでした。
言葉使い、身なり、立ち振る舞いが何か気になる人物で、姉として多くを突き詰めても、妹は優しい人なのと言うだけだったそうです。
家出は妹が仕事を退職した直後だったので、環境が変わったのを契機に男性の元へ行った可能性が高く、男性の情報も整理し、現在の住所を判明させました。
住んでいた町は実家からは程遠い距離にある小さなアパートでした。
妹がスーパーでお鍋の準備の買い物をしている姿は、とても家出人には見えません。途中、交際する男性と合流し、ハローワークで職探しを二人でしている様子も悲壮感はありません。
無理矢理二人を引き離すことはしないと約束の上、タイミングを計らい依頼者に引き会わせることが出来ました。
小さな行き違いがとんでもない事態へと変貌するのが家出です。男性については、安定した職業につけない性分らしく、妹はなんとか彼の仕事が決まったらきちんとした形で家族に紹介しようと思ったそうです。
ならばどうして、家出などと思われるでしょう。
今の彼の現状を正直に紹介したら、結婚を反対されるかと思ったようです。1年経って、依頼者である姉から連絡あった時にお聞きした話では、彼は定職について、子供が生まれたそうです。親との小さな確執みたいなものはあるものの、それも家族です。そして、今もあの小さなアパートで親子三人住んでいるそうです。
依頼者川村様(仮名)の夫(対象者)はシステムエンジニア。子供は5歳と3歳。自宅は購入したばかり、年1回は海外旅行を楽しみ、友人を呼んでバーベキューしたり、ホームパーティが好きな方でした。しかし最近、夫は責任者になって、仕事が多忙になり深夜の帰宅が続きました。子供の顔を見るのは週末くらいで、仕事が忙しくなると会社に泊まりこむ日々。そんな生活が数年続いていたといいます。自宅には玄関から、寝室、部屋中に子供や家族の写真があふれていました。
依頼者は、今にして思えば、夫はここ数カ月深夜に帰宅して寝汗がひどくてベットの中で眠れないとよく言っていました。今年の旅行の話もうわの空で、いつも何か考え込んでる感じでした。仕事のことで悩んでいるのだと思いました。
依頼者は、自分を責める方向になって、なんで気がついてあげられなかったんだろうと。いつからあの手紙はあったんだろうと。
パンを買いに行く最後の姿が焼きついて、パンはおろか食事すら出来なくなっていきます。ただ30代の有能なSEが仕事を捨てたわけですから、緊急案件であることは間違いありません。調査期間約1カ月の中で、情報を集め、家族も知らなかった暗部に入っていきます。
何度も壁にぶち当たりましたが、夫は一人、地方のビジネスホテルに宿泊していることを確認。もう人生を終わりにしたいと何度も自殺をしようと思ったようです。仕事に追い詰められ、それでも完ぺきな父を演じるためには、マンションのローン、子供達の養育、年1回の旅行、どんなに疲れていてもバーべキューをすることなど、夫のスケジュールは仕事以外にも埋め尽くされていきます。
ちょっと休みたい、転職を考えたいとは言えなかったのでしょうか?
夫の苦悩を知ってからようやく本当の夫婦としてやっていけるかもしれませんと依頼者は涙されました。
依頼者の峯岸様(仮名)と夫(対象者)は、メールのやりとりで夫に女性関係があるとわかり、夫婦のいさかいが数年続いていたようです。相手の女性は知人なので自宅を知っていて、夫がいるのではと思い切って行ってはみたものの、その女性はバツ一でしたが、子供もいたそうです。また、夫がその狭い団地に家族と一緒に住んでいるとは考えにくかったそうです。
調査期間は1ヶ月以上及びましたが、足取りを掴むことが出来ました。
やはりその女性との接触が見られ、新しく借りているワンルームマンションが判明。
マンションの保証人が相手女性の知人であることもわかりました。と言っても、そのマンションには家財道具一切ありません。クーラー、テレビ、冷蔵庫はマンションについていたものです。台所には弁当箱の空き箱が積み上げられ、缶ビールの山。とても穏やかに楽しく暮らしているとは言えませんでした。
夫は満身創痍の日々で疲れ果てていたようでした。女性はほとんど家には来ず、一人で居ることも寂しかったようでした。探してくれた妻(峯岸様)の思いが通じていたようで、その後、夫はすぐに自宅に帰り、その晩の妻の手作りの料理を残さず食べたようです。夫は女性と別れ、ハローワークに通い、妻もパートを探すべく二人で通っています。