天神橋筋商店街21
2020年7月10日 カテゴリー:雑記
自宅から駅までの道のりは立ち漕ぎでは登れない急勾配の坂がある。
突風が吹き荒れる朝、その坂の途中にマスクが落ちていた。
それは着けたばかりの新品であろうマスクに違いなく、落とした人はきっと駅からこちらを向かう下り坂で突風に吹かれ飛ばされたのだろうと推察する。
気をめぐらせば駅や街中でも捨て置かれたマスクをよく見かけるようになった。
これからの時代はハンカチを持つようにマスクが必要なのだと誰かが言ったが、気の抜けない日々を送っている。
あらゆる職業に多大な影響を投げかけている新型コロナであるが、調査業も人が動かないことでは調査も行えず影響は大である。
また、コロナ離婚が増えたともあるが、メディアが勝手につけているだけでそもそも離婚は急展開にはならないので、現実から逃げていたのが、一緒にいる時間が増えてくすぶっていた火種が点いたのだろう。
天神橋筋商店街もかつての活気が戻りつつあるが、以前と全く同じというわけではない。暮らしに密着した商店街にいると何が今起きていて、何が必要とされているのかが見えてくる。
人と会わないことが一番の特効薬という時代は経済の流れを変え、人との付き合いも変えていく。カバーの向こうにいる店主との語らいもいつの日か当たり前のような時代になっていくのだろうか。
調査業についての面談は本来はお会いして事務所に来られることをお勧めしており、ズームの面談や電話相談だけでは最終的に双方が全信頼を感じ取れにくく、人生の一大事をしっかと聞くにはお会いすることが必須なのである。
そんな中でも、やってくる相談者に配慮をしつつ、対象人物もこれまでと違うイレギュラーな時間にいるので調査の手法も変わっていく。
天神橋筋商店街を歩いていると、天神祭のお囃子が威勢よく流れていることに気づいた。日本三大祭の一つで130万人が訪れるが、中止となったのは大阪天満宮によると戦後間もない1946年以来で神事祭儀は公表せず神職のみの開催となるらしい。
天神祭は疫病退散を祈願する祭、本来1年をかけて祭の入念な準備をかけるがこの中止は日本中の祭も同じ状況になっている。そんな中、せめてものと流したお囃子に天満人の心意気を思い、苦しい時の神頼みではないがこの苦境をどうか超えられるようにと願う。
長年、天神祭があって夏の到来を感じ、心浮き立ち賑わいがないのは寂しい限りだが、いつも依頼人に言う言葉を自分に言い聞かせる。今、明日ではなく、来年、自分がどうしているかを考えよう。
それに向けての準備を整えたい。