けものたち11
2018年9月20日 カテゴリー:
いつも私の心をわしづかみにする。
ネットのサイト「ナショナルジオグラフィック アニマル」
「子を襲われた母ウサギが蛇に猛反撃」
「母親ゾウ、リカオンの集団からわが子を守る」
「動物の赤ちゃんフォトギャラリー10選」
タイトルに惹かれ、どんどんスクロールをしてしまう。
そんな中、実に恐ろしいニュースが飛び込んできた。
「米西部ワシントン州で19日、サイクリングをしていた男性2人がピューマに襲われ、1人が死亡、1人が重傷を負う事件があった。二人を襲ったピューマは射殺された。ワシントン州で人間がピューマに襲われて死亡したのは約100年ぶりで、野生当局は21日、ピューマが2人を襲った原因の調査を行った。
かろうじて逃げ切ることが出来た男性の一人によるとカスケード山脈をサイクリングしていたところピューマに後をつけられていることに気が付いたという。
二人は自転車を投げつけるなど、あらゆる手段でピューマを追い払おうとしたため、ピューマはいったん逃げ去ったが、再び戻ってきてセデルバウムさんの頭部めがけて襲い掛かった」。(AFP BBニュースの記事より抜粋)
世界最速とも言われるピューマに延々と追跡され続けたのである。
どれほどの恐怖を味わったのだろう。
そこは携帯電話も圏外の本物のサファリ。
一度照準を合わせたら一度もそのスピードを落ちさせることもなく、延々と数十キロを追尾することなど容易で、時に木々に身を伏せ油断させ、その姿を潜ませる。
苦渋の決断で友人を残し、携帯電話の圏外の地域から脱するまで、決死の覚悟でペダルをこぎ続け、一刻もその場から離れることしか生き延びる方法はない。
我々はいつからか可愛い、美しいだけの愛玩としてケモノと暮らしはじめたが、実はいとも簡単にその爪や牙で人を致命的に追い詰めることが出来るはずだが、本能を隠し飼い主と共に寝床につく。
愛猫の爪を切っていたときだった。抵抗し少し血がにじんでしまった。
体重5キロほどの愛猫は一瞬、口を大きく開け牙を見せ、目は見開き、エクソシストのようなおぞましい声で威嚇した。
だが、直ぐに打って変わって身をすくめ、ちんまりと私の胸の中に顔をうずめ、小さくはかなげに鳴いて身を震わせた。
彼はまだ本気出していない。
自分の本能をひた隠して、ぶりっ子していた。
可愛がられることは生きること。けものの武器である爪を切られても、ぶりっ子し続けることに今更ながら愛苦しさでいっぱいになってしまい、今後、猫の爪を切るときは必ず老眼をかけることを誓った。
そして、愛猫は台風以降毎朝、日の出と共にやってくる瓦職人の様子が気になって仕方がない。
彼らは救世主だと伝えたいが、頭上で大きな声で話す職人たちを不信な侵入者とみなし、出窓のレースのカーテンに隠れつつ様子を伺い、今にも襲いかからんばかりのケモノの姿となって姿が消えるまで、おぞましい声を出し続けている日々である。