人生はかくも長い
2018年2月01日 カテゴリー:雑記
人との出会いは不思議なもので出会った時は意識がなくても、何かの拍子で深い関係になっていくことがある。不倫になる経緯はきっとそんな日常に多く潜んでいる。
妻は家の中のことをきっちりこなす人だった。仕事がどれだけ忙しくとも部屋をさっぱりと片付け、凝った手料理を振る舞う良き妻だったが、ある時を境に全くといっていいほど家の中に気持ちが向かわなくなっていったという。
長い結婚生活、いつまでも終わらない家事、ようやく子育てもひと段落したところで、そんなこともあるだろうと夫は目くじらを立てずにいたという。
夫婦でいることはただ一緒にいるだけでなく、その変わりない日常の空気を気持ちよく吸うことが大切で、顔を見て話せることが出来にくなった時、少しづつ不協和音がはじまっていく。
不倫に悩む人たちはこの目に見えない不安の世界に翻弄され、妄想と現実の狭間で何とか神経を保っているが、耐えきれず真実を知るために調査会社にやってくるのだろう。
調査会社に依頼することは多くのハードルを越えてやってきている。費用、調査力、果たしてそこは信頼できる調査会社なのか。調査が失敗することはないのだろうか。そして調査後の人生への不安、あふれ出るネガティブなことばかりが頭をよぎってしまう。
私は細心の注意を払いお会いしているが、人間はやはり顔を見て話すということが心を落ち着かせるもので、お会いすれば一気に心を開いて話は過去にさかのぼって、とめどなく話し始める。
ただ、全ての方がそうではなく、一体どこから話せばいいのやら、押し黙り、ただ涙がこぼれ、男性ならば流すまじと堪えている姿は、世間でイメージされる不倫とは全く違って当事者にとっては、人生を揺るがす一大事であることを強く認識させられます。
深夜に突然、依頼人からメールが入る時、何気ない短い文章であっても実は泣いていたのではないかと思うことがある。
相談員として20年、人の悩みを聞き続けることで、時に自分には絶対に解決出来るものと驕った考えを持ってしまいがちですが、家族ではないのでそこを超えてしまうことは出来ません。
そして、混乱し苦しみもがく依頼人には、それでもあなたが選んだ人なのだから、最終的にはあなたが向き合わないといけないと伝えます。
人は出会いでつまづき、人生を変えてしまうこともあったとしても、人生は捨てたもんじゃなく、少なくとも私との出会いでは人生の再スタートをお手伝いできる者として寄り添っている。
相談員として未だ日々葛藤し、何も出来ないかもしれません。調査力は最後にしか披露することが出来ないのが残念ですが、同じように調査結果を待つ相談員の心をも掴み、依頼人と共に涙し、笑い、生きています。