天神橋筋商店街15
2017年9月08日 カテゴリー:雑記
私は「天神橋筋六丁目」駅で下車し、二駅分を歩く。二駅といえども、賑わいの中を歩くことは、あっという間に事務所に到着する。
天神橋筋商店街ついては何度も申し上げているが、お若い方のファッションブランドは少なく圧倒的に多いのが、おばちゃんが御用達のお店の多いことである。
私はここ数年、街中で納得のいくお洋服を購入しにくくなったが、この商店街ではどんな体型になってもジャストサイズのお洋服がいくらでも買える。しかもそれが驚くべき低価格で。
例えば、大阪のおばちゃん御用達のヒョウ柄シャツについては通天閣にある「なにわ小町」が有名らしいが、おばちゃん街頭インタビュー日本一のこの「天神橋筋商店街」をお忘れではあるまいか。
5丁目にある「スエヒロ」天神橋店は傘やストールがメインのお店のようだが、なぜか余り目立たぬように店の奥に数枚ヒョウ柄シャツがぶら下がっていた。
瞬次に動物的嗅覚で一歩奥に入れば、やはりあったか。
所狭しと虎、ライオン、ピューマたちのゴージャスなシャツがぶら下がっていた。
これほどのアニマル柄のラインナップがありながら、なぜこれをメインにしないだろうと疑念がわく。
だがDEEPな大阪発見と、このお店を外国人がSNSで知ったのだろうか。このお店でアニマル柄シャツの写真撮影を行う多くの外国人がいることを知る。
ある朝、イタリア系の豊満な体型の女性が顔面のみのジャガーをひどく気に入り、ストレッチ感を確認しながら購入していた。
この店には傘がメインなのではない、飛び道具的存在感を持つお店に違いなく、いつの日か必ずここでかっこいいヒョウ柄を購入したいと時々チェックしている。
また、私は断じてグルメではないが、夕刻その店に入って食し、胃袋が大変喜んだことをお伝えしておきたい。
5丁目付近にある「他人丼 あか乃」
こだわりの牛肉の旨さと、メイン以上に存在感を持つ関西人が大好きな肉吸いがセット。
ただ心配なのは店主である髭のお兄さんが一体いつ休んでいるのだろうと心配するほど、朝早くから仕込みをしていて、昼夜ひとりで切り盛りしていることである。
そして、信号を渡り天神橋筋商店街を4丁目付近まで来たら、つい彼の姿を探す。彼の名はオスの「ゴンちゃん」犬種はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。
商店街を取材にやってきていた芸人たちと戯れるゴンちゃんがTVに写っていたのを見たのは3度ほどあり、まさしくこの商店街のアイドル犬であろう。
いつも「喫茶ひまわり」の前に銅像のようにちょこんと座り、対角線上に店内にいる飼い主を凝視し続け、母恋し、いずこと無垢なまでのその姿は愛くるしい。
名を呼ばれれば、おやつ欲しさにしっとり見つめてくるので近所の商店主からもらいすぎてしまい、少々肥満気味になってきているのが心配である。
その姿を見ると知らぬ間に頬を緩ませ、言葉を交わさなくとも意思の疎通をしたつもりで、私は今日もいい一日が始まったなと思わせてくれる。
この商店街を毎日通過するだけで、少しづつ親しくなる人がたくさんいて、顔を見ればつい話が弾み、事務所に到着するまで何人もの人達と一日の始まりの挨拶をさせてもらっている。
調査が終わり、状況が落ち着かれた依頼人の方と再会するのもこの天神橋筋商店街のどこかのお店で、最後に大阪天満宮に参拝してお別れしている。
この商店街の始まりはどんな賑わいがあったのだろう。
江戸時代初期、大阪天満宮の表参道として繁栄し、交差する寺町通りに並ぶ多数の寺院への参拝者であふれ、江戸後期には寄席や歓楽街として発展し今日に至る。
その歴史を思うと心が騒ぐが、ネット上で古地図や図絵。セピア色の写真にアーケードのない商店街を小さな看板を見つけては虫眼鏡で眺めていると、ここはあのお店だと発見すると嬉しくなる。
久しぶりに天神橋筋8丁目まで歩き、長柄橋を超えてみようかと思うも、残暑はまだまだ厳しく、秋の訪れを待っている。