不倫事件簿2 

2017年5月16日 カテゴリー:雑記

人はなぜ結婚するのだろう。

 

愛情の沸点は時として恐ろしいまでの破壊力を持っているらしいが、この結婚は初めから崩れ落ちる城だった。

 

当時、事件は被害者である妻に注目され、それがどこまで真実だったのかわからないが妻の私生活が赤裸々に暴かれ、週刊誌の格好の餌食となっていた。

 

1994年、横浜の京浜運河に重しをつけられた女性と幼児2体が発見される。それは医師である男性の妻子であり、家出人届けが出されていた。

 

夫は狂乱を装い、家出について全く心当たりがないと言っていたが、夫の手の甲に小さな傷があることから疑念を持たれ、飼い犬に噛まれたと言うが夫婦間のトラブルがあったことが判明する。

 

総合病院の医師であった夫は1000万以上の収入があったが、それを超える投資や遊興費に使っていたため常に金銭に窮しており多額な借金を抱えていたという。無論、結婚してもフィリピンパブや風俗店での遊びを変わらず続けていた。

 

夫は交際当時から複数の女性と関係し妊娠してもしばらくは入籍を拒まれたという。そして妻は若くして離婚しており、二人の子供を前夫に残してきた身の上だった。

 

何とか自立しようと看護師になることを夢見ながら、病院で受付のアルバイトしていて、今の夫と出会ったのだった。

 

はたから見ると一戸建ての家にゴールデンリトリーバーを飼い、暮らしは裕福にみえ誰もがうらやむエリート医師の家族に見えたであろう。

 

だが、現実は借金、愛人問題。
夫婦の喧嘩はすさまじいまでの想像を超えるものが連日あった違いない。

 

妻はそれでも何とかこの生活を乗り切るために昼間は事務員と夜のバイトをしていたが、いつまでたってもその日暮らしの生活で、通帳の残額はどれも数百円しかなく、子供を育てるために狂いそうになりながら必死で息をしていたにちがいない。

 

疎ましく思った夫は妻子を殺害した後、いつもと変わらず馴染みの風俗街へ出向き、愛人だった女性と北海道旅行の予約している。

 

何の進展も見えない夫婦喧嘩はただむなしく、妻は疲れ果ててようやくこの結婚は失敗だったのだと気が付いたのだろうか。

 

それとも、命が尽きる寸前まで夫には愛情が残っていて、暴言を吐き言葉攻めをどれだけしたとしても別れるつもりなど微塵もなかったのかもしれない。

 

夫は17日間シラを切り続けたが、殺害現場の埠頭に本人車がNシステムに記録されていたから観念したのである。

 

激しい情念を持った妻だからこそ、なんとかこの結婚生活をやり切れると思っていたのかもしれないが、人間には難癖があって、借金癖、女癖、ギャンブル癖。

 

人生の仕切り直しは悲しいことに全てを失ってからでしか反省出来ないようで、このような難癖のある人とは生涯を共にしないことが望ましい。

 

結婚は明日のことを語り合えることだ。
明日は何を食べ、どこへ行き、誰と何をするのか。

 

何でもない日常の会話が毎日積み重ねられ、どんどん夫婦の家族の歴史を隙間なく彩られていく。

 

たとえ砂の城であっても、そんな日々の会話の厚みはどれだけ他人が入り込もうとも、お金がなくとも、夫婦の力で踏み固められて強じんな城へ作り上げられていくものなのかもしれない。

 

ちなみにこの事件にはいくつかの謎が残されている。遺体をくるんでいた紐の形状が「俵結び」になっていたが、これは昔の米農家独特の手法らしく、夫は実況見分ではその結び方が全く出来なかったという。

 

この事件は実は共犯者がいるのではないかとささやかれているが、1997年、無期懲役が確定した。のちに妻の日記を知り、号泣したというが一体何が書かれていたのだろう。

 

妻の心の叫びを聞いてくれる人はいたのだろうか。

 
もう頑張らなくていい、よく頑張ったねと言ってくれる人さえいればこの執着を断ち切れたのかもしれないと思うが、わずかな情報しか聞こえてこないこの事件については夫婦のことは夫婦でしかわからないと私は決着するのである。

 

事件名2 つくば母子殺人事件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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