天神橋筋商店街13
2017年2月22日 カテゴリー:雑記
JR天満駅の北側にある裏天満と言われるところが今、活気ある飲食店が多いらしい。
そこは簡易の椅子とビニールシートの店が多く、何度か行ってはみたものの足の悪い私は若干辛いものがあったが、あらゆるジャンルのお店があって、毎週日替わりで行っても楽しいかもしれない。
その裏天満の抜け道の一角に約35年前になるが、美しい銀色の猫がいる骨董屋があった。
そこはおじさんが一人いて、店なのか、露天なのかわからない趣で放射状にのびる道のど真ん中に位置し、まさに異空間のような店だった。
私はそこで国籍不明の涙壺に興味を持って、ふと買おうかどうか相談した相手は離婚した夫で、私たちは結婚前で天六に今はないが、お気に入りの洋食の店があり、天満界隈にはよく食事をしに来ていたのだ。
その後、結婚してから離婚してからもここを訪れる機会もなく、記憶の底に眠っていた思い出が時々呼び覚まされるのは、この場所を今、天六駅への近道として通過するからである。
商店街の人込みは日によって時間帯によって違う。仕事の電話が鳴り、内容から会話の出来る静かな場所へと移動していけば、いつのまにかこの場所へ引きこまれるように立っている。
ここは戦後の闇市の名残りで、アーケードはトタン屋根で覆われ、この一角は昼までも仄暗いムードに包まれ道幅も狭く、居並ぶお店はどこも古いお店ばかりで、アジアンチックなムードを漂いながら小路を自転車が往来していく。
かつて35年前、天満駅前のジーンズショップに入手困難だった型番のサスーンのジーンズが売られていることを知り足しげく通い買い物したが、購入した日は夕刻で思い立ち、銀猫はいるだろうかとのぞきに行った。
おじさんの店は閉まっていて、帰ろうとすると銀猫がヒョイと顔を見せ、路地から路地を歩く猫に誘われるようにこの裏路地を歩かされた。
現在も路地裏にペット用品のお店があって、格安で購入出来るので利用しているが、私はここで小さな煮干しを買い、おじさんの銀猫におやつをあげていたので、きっと私の尾行を銀猫は許してくれたのだろう。
商店街は中高年の品ぞろえなので若い頃はピンとこなかったが、やはりご縁があったのか、時を経てようやくマッチングするべくここで仕事をして10年以上になる。
そして、最近はここがこれぞディープな大阪と思うのか、このマニアックともいえるこの場所に多くの外国人の姿がやってきている。
隠れた名店も多く、場所柄なのか中華のお店はどこもはずれがない。
何かレトロチックで、この場所だけは35年前と何も変わらずにいてほしい。