天神橋筋商店街7
2015年9月02日 カテゴリー:雑記
若い頃には見向きもしなかったが、ある時を境に興味を持ってしまうことがある。
天神橋商店街には創業100年以上の「三好屋」「天音屋本店」「浪華昆布」そして最近出店された「舞昆のこうはら」
これまでは商店街を歩いていても、これらの昆布屋には全く興味がなく見過ごしていたが最近は立ち止まり、お味見などをしている自分がいる。
ちょっとした贈り物に、お茶請けに、何より自分自身が白ごはんにいただく一品として、一番好きなチョイスになっていったのはいつからなのだろう。
最先端のファッションや飲食店が立ち並ぶストリートも楽しいものの、今の自分の年齢にふさわしいものがすぐさま入手出来る天神橋商店街にいることは実にありがたい。
そんなある日。
向いの女性が私と全く同じシャツを着用していた。
私は52才だが、向いに座ったおばさんはどうみても70過ぎのように思えた。
それはプリントシャツでいわゆる関西のおばちゃん御用達のアニマル柄である。天神橋筋商店街にはヒョウ柄をバックに様々なトラ、豹、ピューマ、ライオンたちのシャツが売られている。
私はアニマル全般は大好きだがシャツとして着用する自信がなかった。まだ自分はその域に達してないとも思いながら、シャツを額装しても美しいだろうと思うほど惹かれるのだった。
そして、この一見派手に華美なアニマルシャツを着こなすには、何事もすんなりと受け入れられる度量のようなものが要求され、アニマルを跳ね返すほどのパワーが必要で若人には着こなせず、一歩間違えると荒ぶった感半端ないので注意が必要である。
だがある日、商店街でふと見たアニマルシャツに驚いてしまった。
トラと見せかけて実は猫。
キラキラのスパンコールも控えめで2匹が頬を寄せて並んでいて、非常にお品のある色使いで、どちらも我が愛猫そっくりの風貌なのである。
猫のシャツなど、どこにもありそうだがプリントのでかさ、写実的な画風。
その色彩の派手さはヤングのお店にはない猫シャツであろう。
そもそも、アニマル柄のデザインはセレブ系のメーカー「伊太利亜」が忠実に繊細に美しくデザインしたもので当時は大変高価な品だったが、韓国、中国系にコピーされて安価なものにイメージされ、いつの間にかなぜかおばちゃんブランドと化したのである。
天神橋筋商店街にはおばちゃんのエッセンスの詰まった商品がわんさとある。
私はおばちゃんだが、おばちゃんくさくないアニマル柄を探していて、毎日天神橋筋商店街でぶら下がったアニマルシャツをながめていた。そして、ようやくファッショナブルなデザインな品を発見することに成功したのだ。
同じですね・・とアイコンタクトしたら、笑顔に。
上下のお洋服、アクセサリー、バック、靴。
刻まれたしわも私には素敵に思え、非常にシックなシンプルな装いの中に猫アニマルは光っていた。そして彼女はやはり天神橋筋六丁目駅に颯爽と降りたったのだった。
今は興味が惹かれなくとも、また60を過ぎたあたり、新たな趣味嗜好などが生まれるのだろうか。
そんな風になぜ始めるようになったのかは自分でもわからない新たな趣味の一つとなったのが御朱印巡りである。御朱印を眺めていると、ただ心が落ち着くとしかいいいようがない。
神社を訪ね歩き、そこに一人ぽつねんとすることが心を解離す時間を頂戴しているといえばおおげさかもしれないが、騒がしいものが好きだった時代から静かな時間もこの上なく素晴らしいと思えるように。
なので、私の御朱印帳は何かの折に祈念させていただいたり、依頼人の方とお別れする際に立ち寄ることの多い「大阪天満宮」がもちろん1ページ目で始まっている。