察しない男 説明しない女
2015年4月07日 カテゴリー:雑記
2000年に「話を聞かない男 地図の読めない女」という本が爆発的に売れたが、この本はそのセカンドシリーズなのだろうか。
男女をこのようなくくりで決定付けすることはあまり好きではない。何故なら人間はある時は男性的で、ある時は女性的な両面が必ずあるはずなのだから。
だが、売れている本は必ずチェックしてしまう。そこに現代人の思い悩む、或いは求めている何かがあるはずだからだ。
先ずは目次5選のタイトルが秀逸である。
1、男は「初めての男」になりたい
女は「最後の女」になりたい
2、男は「ナンバーワン」になりたい
女は「オンリーワン」になりたい
3、男はノリノリの時に女を欲しがる
女はどん底の時に男を欲しがる
4、男は別ファイルに保存
女は上書き保存
5、男は子供でいたい
女は女でいたい
女にとって結婚とは、1と2の心境でいることは間違いない。
だが、男は違うようだ。
困るのことである。
結婚生活も長くなると、パートナーに対して多少のことは目をつぶってあきらめもつくが、時には確かな答えを求める瀬戸際があるため、このような場合、男女の考え方の相違で波乱を起こす。
これがこの本のタイトルでもある、「察しない男、説明しない女」なのである。
女からすると事前に何度も十分な説明を話はしているつもりなのだが男はその話を聞いていない、全く察してくれていないのだ。
男からしたら、前ふりが長すぎる、何度も同じ話をし過ぎる、今聞ける状況ではない等、察することの出来ない訳があるのだろう。
だが、どれだけ意見が食い違っても、話がかみ合わなくとも男女は出会い愛し合う。
大小の喧嘩を繰り返し、歩み寄り、相槌をうち、聞いているフリをしながらずっと一緒にいるのが結婚だろうか。
私は自分の両親が思い浮かんだ。
父は10年前に亡くなったが、いつも二人の話はかみ合わなかった。母の話は要領を得ず、観点がずれまくる。瓦の修理の見積もりの話の途中、何故か隣家の猫が溝にはまっていた話を延々とするのである。
気の短い父は眉間にしわを寄せながら、「頼むから結論から言ってくれ」と、少なくとも40年近く言っていたような気がする。
母は父が亡くなるまで、結論から話すことは一切出来なかった。
それでも、足りない何かを補いながら、泣き、笑い、父が命の炎が消え去る最後の瞬間まで一緒にいた。
頑張って最後まで一緒にいる夫婦には神様がパワー与えてくれるのか、父が言葉を失っても難なく意志の疎通が出来るようになり、母は父の心の中まで読み通す通訳者となっていった。
察することが出来て、うまく説明出来るなど、神様でもない限り不可能に違いない。
だからこそ、求め合い、もつれ合い、気の遠くなる時間をかけながら、ようやくわかり合えた時、男女の仲をはるかに超え、離れがたきものとなって行く。
自宅に雨漏りの見積もりにきた業者について、母にどれくらいの金額であったのか聞いてみると、やってきた業者がゴルゴ13にそっくりだったらしく、一向に本題に入らない。
男女における違いがこの世の中を動かしているのだが、とりあえず雨漏りは早急に修繕したく、深夜、布団に入り自室の雨漏りのシミを見ながら一体いくらだったのかと思い出すも、やはり母との会話はゴルゴの話で終わっていたことに気が付いたのだった。
「察しない男 説明しない女」 著者 五百田達成