夫のモラルハラスメント
2015年2月20日 カテゴリー:調査記
依頼人である妻は夫から毎日、何年も苦しめられていた。
それは夫から無言の攻撃を受けているのだという。
夫婦二人だけの暮らしの中で、一切の言葉のやり取りがない日常生活はどれほど苦しいものであるか想像を絶するが、家を簡単に出ることが出来ない妻はそんな環境であっても、そこにとどまっていなければならないのだった。
機嫌の悪い時は物音を立てるだけで、延々と説教が始まり、無言から暴言へと肉体的な暴力はないかわりにジワジワと精神的に言葉の暴力で追い詰めるこのモラルハラスメント。
結婚してから長年、社会に出たことのない妻は夫から無能の女として扱われてきたので、女としてだけでなく人間としての自信を喪失していくのだった。
自分の行いが悪いからこのようなことになってしまったのだと思い、夫が帰宅する車のエンジン音を聞いただけで胃が締め付けれるような痛みを感じるようになり、家庭の中の緊張感はこと切れる寸前だった。
信頼を得れば全てを語った上で依頼したい方が多く、これまでの夫婦関係やどうやって夫と知り合ったか、普段の夫の振る舞い、放った言葉の数々、話はエンドレスに続くこともある。
そんな夫が自分だけに有利に家庭を捨てようとしていても、現実を知ることが中々出来ないのだが調査であらゆることが判明すると、徐々に心の変化を遂げるのだった。
愛して愛されて、祝福されて結婚した優しかったはずの夫。
夫は外では優しい、頼もしい夫であって、仕事もバリバリとこなし、地域の人達からも信頼され、夫のその姿を知るのは家族だけのことが多く、密かに悩み続けるのだった。
横文字に表現されることで、その怖さがわからないが受けた人の心の傷はとてつもなく深く、対して、夫も心身を重大に病んでいるに違いなく、妻が防波堤のように受けていたストレスが、妻が離れた時、その怒りはどこへ向けられるのだろうか。
調査が完了してから、このような夫であるからこそ、今後の妻の行動の移し方や、話し合いの手順などアドバイスをさせていただいている。
モラハラについては言った言わないの水かけ論になるので、理解してもらうのは、立証すべく会話の録音、克明な日記、第三者の証言など情報を集めることをお伝えしている。
だが、真剣に悩んでいる人の多くはすでに克明な日記、メモをつけていることが多く、私は長年それを読ませていただいているが、始まりは手帳型のスケジュール帳だったのに書くスペースが少ないため、大学ノートに変わっていく方が多い。
人間の体の中には大きな壷があるかのようで、苦しみの涙をそこへどんどん溜め込んでいきます。その壷の大きさはそれぞれで、満杯になる時間もそれぞれ。
溢れ出し、勢いよく壷が破裂する人もいます。
涙の壷は溢れ出し、割れる寸前になって混乱し、一体どこから話せばいいのかわからない。
まるでそれは命の電話のように必死の思いで相談電話をかけているのだと思います。
始まりから、じっくりお聞きしましょう。
お力になります。