探偵社に依頼すること
2015年2月05日 カテゴリー:調査記
依頼人となる時は、ある日突然にやってくるのかもしれない。
信頼できる調査会社はどこにあるのか、利用した人もわからない。
目に見えない、結果のわからないものに依頼することの大きな不安と、その先にある自分の未来を直視する力も必要になる。
調査会社、探偵社を選ぶことは、どんな業種をもっても比較出来ないくらい難しいだろう。楽しいプランなら簡単にそこへ足を運べるだろうが、足取りは重く何度も引き返しながら夜は更けていく。
相談者の多くはすでに悩み過ぎ疲れ果て、突き進むことへの気力が失われている方が多く、解決したいジレンマと矛盾するかのように調査会社とのコンタクトを取ることを積極的にしたくない方もいる。
時に、怒りをぶつけてくることしか出来ない会話の流れは言葉に傷つき、言葉に振り回され、ずっと苦しんできたので、もはや言葉が信用出来なくなったからだと私は感じている。
相談員として、私は依頼人の望むべく着地点に導くことに必死で奔走しても、時には言葉も知恵も無力で、何も話さず、ただそばで一緒にお茶を飲んでいるだけで依頼人にとっては癒しになっているらしく、そこでは本筋ではない話に花が咲く。
人の感情から発生する複雑な相談内容は毎回違うカードを出され、仕事の力量を試されているかのようであるが、それが私にとっての仕事の醍醐味なのだと心に刻む。
始まりは目に見えないモノであっても、最後には形となって、すなわち報告書をお渡しているが、泣き笑い、短くも永い密な時間を一緒に過ごしているのかもしれない。
ともすれば、その関係性から依頼人のかなしみに中に浸ってしまうこともある。その感情は心さみしく、疲れ、何かを思い、ぼんやり月など眺めている夜に突然に連絡が入る。
苦悩した仕事の賞賛は依頼人の中のすべてが完結した時で、随分時間が経ってから。
心の波動はどれだけ離れていても受け取ることが出来るものです。
そして、その後の生活の変化や、夫への感情の変化、依頼人がかつて失いかけていた言葉で、順序立ててしっかりと力強く語りかけてくることに私は驚くのだった。
かつての依頼人の現在に安堵し、たちまち気力を回復し、頬をなでる風も優しく思え、このまま月を追いかけてどこまでも歩いていけそうな気分になります。
さみしい時はお茶でも飲みながら。
そこで何か笑いあえる話でもしながら。
私は依頼人の方とはそんな風に長年お付き合いをさせていただいています。