笑う洋楽展
2015年1月19日 カテゴリー:雑記
10代の頃、洋楽ライブ専門の喫茶店に通いつめていた。
映像を見ながら、なんてカッコいいのだと酔いしれ、その後、オリビア・ニュートン・ジョンのフィジカルの影響を受けて、オープンしたばかりの近鉄堂島ビルの中のエアロビクス教室に通っていた。
しかし、時が経てば、一部の映像について、こみ上げる笑い。
それ、おかしいんじゃないの感がフツフツと湧き上がってくるのはなぜだろう。
現在のその感受性を見事に表わしてくれる番組がある。
「笑う洋楽展」はNHK、BSチャンネル、深夜放送番組の1950年代~1990年代にかけて撮影された洋楽映像を鑑賞しながら、みうらじゅん、安斉肇氏が自由にトークする番組である。
二人が並んで座っているだけで、もうすでに何かおかしい。
番組で取り上げるアーティストは超有名からマイナーまで幅広い。だが流れる懐かしいミュージックにエピソードや、うんちくも語らず、音楽とは全く関係ない話しを聞かされ、要するに全く音楽性はゼロの番組である。
初回テーマは「胸毛男」
フレディ・マーキュリーをこきおろす。
ほとんどの映像は、インターネットなどなかった時代で、洋楽ファンはこの最新情報を楽しんでいたのだが、確かに冷静に見ると、時代の音楽に我々は完全に踊らされていたのだと知る。
当時の最新技術を持った映像なのであろうが、衣装のダサさ、やっつけでやったに違いない演出を見抜き、ぶったきるのである。
それぞれの音楽のテーマのお題は。
アート志向、鼻、美女が車に、カメラ目線の女、眉毛男、汗っかき、落ち着きのないメガネ男、孤独のダンス、ビリー張り切る、距離の近い客、服がキラキラ。
そして、最後に番組内で取り上げた、そのアーティストの直近の最新映像を紹介してくれるのがオチだが、ほとんどのお姿は残念な日常のイケてない写真である。
時の流れは恐ろしい。
普通の人でも30年も経てば輝きを失うが、スターゆえ、その変化変貌は驚きだけでない。
たった1曲でも後世に名を残した者は生涯過去の映像が残され、追い続けられるのである。
この番組は楽曲はスタッフが決め、収録時に初めて二人が知るらしく、完全フリートークらしい。ゆえ、サブカルチャーの帝王とも言われる二人なので、音楽というジャンルから大きく逸脱し続ける。
仕事なのか趣味なのかわからないほど、くだらないことにいつも熱心で、散々茶化しながら、誰も気づかなかった欠点や、アーティストの背後にいる人のユニークさを教えてくれるのだった。
番組のタイトル通り、笑うことで、尚一層、楽曲が強くアピールされて行く。
音楽を取り巻く環境の変化から生れる別の楽しみ方を教えてもらっているようだ。
だが、エルトン・ジョンの「Your song」の初期の映像を知り、これまで心を落ち着ける曲としてチョイスしていたのだが、この番組のせいで全く心落ち着けなくなり困っている。