ドラマ「55才からのハローライフ 」
2014年7月28日 カテゴリー:雑記
このドラマは「普通の人々」の再出発を1話読みきりの5編のオムニバス作品からなる。5人の主人公は、ごく普通の人々である。ごく普通の人々に起こるごく普通の出来事を、圧倒的にリアルに描いていく。
定年後、老後に訪れる困難さは一様ではない。だが、残酷な日常を抱えていることに変わりはない。老いてからの婚活、再就職、家族の崩壊、親友との別れ、ペットの死。このドラマの主人公たちは、日常の不安から目をそむけず、最後には、新たな道を探ろうと歩み出す。
果たして、人生の「再出発」は可能なのか?
(NHKオンラインより抜粋)
1話「キャンピングカー」
2話 「ペットロス」
3話「結婚相談所」
4話「トラベルヘルパー」
5話「空を飛ぶ夢をもう一度」
どのタイトルも身につまされるような、何か泣けてきてしまいそうなラインナップである。
もう若くないのだと時折感じる淋しさと、人生の頑張れる残り時間を考えなければならない年齢になったからだろうか。
各主演者はリリーフランキー、原田美枝子、風吹じゅん、小林薫、イッセー尾形。実のある魅力ある役者ばかりで、脇を締める役者達も渋い面々で至極大人のドラマである。
1話の「キャンピンカー」は中々良かった。
リリーは何かぼんやりした男かと思うと、「凶悪」のような悪魔も演じ切り、今最も安心出来ない役者で、定年後、徐々に心身を病んでいき、叶わぬ心情を痛いほどあらわしていた。
どれもけしてハッピーではない結末のストーリーである。
若い頃描いていた夢や希望が、どれだけ自分が努力をしていたとしても、何かで歯車が狂い現実は果てしなく厳しい。
ただ私ならキャンピングカーを定年後、勝手に夫が買ってしまったら。
どうにかなるさと一緒に旅人になってしまうかもしれない。
だがそれも私が結婚生活を営んでいないから言えることであり、ほとんどの妻はその目的のない旅先に向かう隣に笑顔ではいられないだろう。
この避けることの出来ない人生の様々な問題点をテーマにしたドラマが、果たして一体どんな結末にするのか興味深かった。
このドラマ、全てはチェックしていないが、それぞれ珈琲、紅茶、水。
その飲み物が心と身体を潤す一杯として、主人公の嗜好品として、さりげなく、或いは重要なシーンとして現れる。
それは枯れ果てないように命の水を飲み続けているかのようで、それでもふんばって歩いて行かなければならない全ての人達へのエールのように思えるのだった。
ちなみに、この本の英語のタイトルは「全ての挑戦者のために」。
この年齢に差しかかった方、お疲れ様です。
人生の再出発は、これまでの人生をようやく振り返ることの出来る大切な時間なのかもしれませんね。
私は仕事柄、多くの依頼人の方の再出発を見届けてきました。
人生を終わりにすることがどれだけ楽だろうと思いながら、皆、一歩を踏み出します。
人間は底知れぬ生きる力を持っています。
それはその経験をした人にしかわからないものです。
挑戦者となって行く姿が、いつも私を奮い立たせてくれるのかもしれません。
ドラマではない現実の人生の再出発をお手伝い出来ることに感謝しています。
55才からのハローライフ 著者 村上龍