探偵と歯医者
2014年5月19日 カテゴリー:雑記
歯医者で麻酔が痛すぎるので麻酔のための麻酔はないのか。
調査員M氏。
この人は一体何をおっしゃっているのだろうと思った。
メガネをかけるためのメガネを探している。
それと同じ種類の会話である。
あるわけないだろうと言いたい。
だが、そう誰かにつぶやきながら、次回の治療をひどく恐れるか弱き男性には優しくしなければならぬ。
男たるもの医者に痛いと伝えることは、妻に愛していると言うのと同じだろう。
言えまい。
週に一度、決められた時間に通うことは、予約した段階ではスケジュールが空いていても、我々の仕事は、いつ何どき案件が入るかわからず、全く先が読めない職業なのである。
予測出来ない緊張の現場では歯を強く噛みしめることも多く、現場はいつ動き出すかわからないので食事も、咀嚼せず、ただ胃に流し込むだけで随分と知らぬ間に歯を痛めているに違いない。
二ヒルなお顔からは全く想像出来ないが、どうか痛いんです。
どうやらまだ麻酔が効いていないんですよ。
と、おかしなプライド等は捨ててどうか伝えてほしい。
どうしても言えぬなら、私が同行させていただき、その顔色から推察して、代わりに痛みを伝える伝道者になりかわりたいほどである。
何故なら、治療は1本だけでなはく、数本あるらしいので。
調査員N氏もその話を震えながら聞き、実は痛みを感じながら長年スルーしているらしい。
また、他の調査員の方々についても歯医者に通っていることなど長年聞いた覚えがない。
どんな過酷な状況であっても耐え忍ぶことが出来る鉄の男達である。
だが、こうして歯医者を恐れることに私は不思議に思う。
ちなみに私も歯医者を仕事の都合で、2回ドタキャンして、痛みが頂点となった。
その治療中、めったにかからないはずの依頼人からの緊急コールが鳴る。
何故、このような時にと思いながらも、この世界が発する読めない時間の中に常にいるのだと熱い鼓動を感じる瞬間でもある。
失礼なのは承知のことであったが事情を説明して、即座に治療を中断させていただき電話を取った。
50を過ぎて、治療出来る歯があるだけ私は有り難く思えよう。
そして、私は秘かにM氏の通院日時を入手したので、ご要望があればいつでもお供させていただくつもりである。
しかし、よくよく考えてみると、おかしな光景でもあると思い提案出来ないでいる。