天神橋筋商店街6
2014年3月11日 カテゴリー:雑記
先日、私の親友が所用があって、仙台から大阪にやって来た。何度か関西には来ているのだが、この天神橋筋商店街は初めての来訪だった。
大阪の北区であっても、この街の趣は大阪駅とは全く違う。大阪天満宮があるここ南森町界隈は、大阪地方裁判所、高等裁判所、弁護士事務所などが多く、オフィス街だが、一歩商店街に入ると、大阪ならではの活気にみなぎる下町の風情が多く残されている。
私は勤務中であったので、夕刻までこの天神橋筋商店街を存分に堪能するが良いと午前中、親友を商店街の入り口で見送った。
女性にとって、この長き商店街は何かと心躍るようである。
関西ならではの価格、品、色目、そこへやって来る買い物客。
その数時間、親友はこの商店街の端から端まで堪能したようである。そして私がいつも注視しているあの激安店舗でリアルファー付きの良さげなダウンを購入した。
わざわざ衣服など手荷物になるので、ここで購入しなくてもと思ったが、いかんせんそのプライス。親友は私がいなければ親戚縁者の分まで購入していたかもしれない。
これまで親友は私からしか情報を知り得なかった、このオモロきかな天神橋筋商店街の全容。
実際に足を踏み入れると、スーパー玉出のネオンに驚き、何か心が浮き立ち、財布の紐が緩み、朝食はレーズントースト、サラダ付き。ランチはお好み焼きと胃袋を満杯にしたはずである。
だが、親友は商店街を歩いていると一瞬、立ちどまり店前でただ一言。
「ここに入りたいわ・・・懐かしいね。こんなケーキが食べたかったの」
私は帰宅時に、その店の前を何年も通過しているが、入店したのは20年も前になるだろうか。その店は「本格英国喫茶、西洋茶館」である。
たくさんのフレーバーティとアフタヌーンティースタイルが楽しめる。
最近では、ここのショーケースに飾られるような大きなケーキは他の喫茶店では見かけなくなったが、ここではそれがメインであり、スコーンも美味しい。
どうしてだろう。
どれだけ食事を食べても親友とならケーキはいただけてしまう。
久しぶりの店内は昔と変わらず、一段と紅茶色に染まって飾られたアンティークの小物も本物のアンティークへと変化を遂げようとしていた。
その着席したテーブルは離婚した夫とかつて座った席で、親友が食べたシフォンケーキもそうだったと思い出す。
急な滞在だったため、大阪のもっともっとディープな所へと案内したかったが、未だに一番楽しかったのがこの商店街らしく、どの店の店主も親切で明るく感じが良かったと、次回は姉と来ると言う。
我が街がほめられることは非常に嬉しい。ならばもっと堪能していただきたいと思い、遠路はるばる姉までお越しになるなら、より楽しんでほしいと、その「おもてなし」について考えてみよう。
人が衣食を楽しみ街が賑わうことは幸福の原点なのだと思う。
震災の地に住む親友との話は尽きないが、土手に座り、どこまでも続く白石川の千本桜を眺めたことが思い出され、私はその後、桜を見る度に親友のいる東北を思う。
そして、それが遥か800キロの距離であっても、その3年を思い、駆けつけたくなってしまう心境になることがある。