母とジムへ
2014年2月26日 カテゴリー:雑記
私の母は70を超えたが、小柄ながら体重も70を超えている。
高齢者の初めてのジムは無理は禁物、楽しい時間を過ごそうと母と館内を歩いていると、初級ステップ教室を見つける。
途中入場出来ないように鍵が掛けられた時。
何か嫌な予感がしたのは何故だろう。
50名ほどの中高年が段差を使いステップを踏む。始まりはスローであるが、派手な音楽と共に徐々に複雑な足踏みを行う。
ガラス越しに眺めていると高齢者ばかりと思いきや実はここは猛者揃いでシニア・ランニングやスイミングで鍛えた方々であると気づいた時、既に遅しである。
何と母はオープ二ングからタイミングを失い、50名中、母だけテンポが激しくずれている。赤っ恥をかかせてしまい、頭から湯気を出し、混乱しながら必死で足を動かす母の姿を見て不覚にも涙がこぼれる。
もうリタイアさせようと途中退場をスタッフにお願いした瞬間。
間違いなく私にはスローモーションのようにそれが確認出来た。
テンポのずれを戻そうと足を組み替えた時、己の靴紐を踏みつけ、大きく股割れしながら床を滑べり、お尻から激しくすっ転んだのである。
助けようにも鍵が閉められ、統制された猛者軍団49名の空気が一気に変わり、トレーナーは走り寄ってくれたが、ガラス越しの母は。
右手をサッとあげ、大丈夫です!!
頬を上気させ素早く立ち上がり行進するも、それはどう見てもステップなのではなく、雪だるまが地団駄を踏んでいるようにしか見えない。
捻挫を心配したスタッフが母を無理やり少し休憩しましょうねと連れ出して、その後、全てのマシーンに挑戦するがどれも身体がついていけず、唯一気分よく乗れたのはジョウバだけで、遠い目をしながら腰を振っていた。
トレーナーに簡単ストレッチとマッサージをお願いする。
いくつかの食生活の質問の中で淀みなくハツラツと答える。
はい!一日4回、好きなものを好きなだけ食べちゃいます。
寝る前にお腹空いたら寝れませんもん。
運動?
したことないです!
今日はお風呂入りにきましたよー。
お風呂いいわー広くてー。
独自の健康論を持つ母はトレーナーに逆伝授し、それでも、ずっと笑顔で優しくマッサージをしてくれたのだった。
だが、訳のわからぬ教室に入れられ、人前で滑って転んでも、ズレ半端ないステップもリタイアしようとせず、右手を上げ、果敢にも笑顔で挑もうとしたその姿に感動する。
そんな中、依頼人の方から某スポーツ関連のチケットを頂戴した。
事務所の皆にも差し上げて、ふと母に興味ある?と聞いてみる。
いつでもOK-!!
と即答。
その内容も聞かず、前回の失態も忘れ、きっと楽しめるだろうと思う母はいつもチャレンジすることを惜しまない。
依頼人の方、チケット有難うございます。
新しい門出にぜひとも応援したく、いずれ必ず伺わせて頂くつもりです。
このような母ではありますが、その節は何卒宜しくお願い致します。