ダンス!ダンス!ダンス!
2013年12月09日 カテゴリー:雑記
私はいつも騙される。
20数年騙され続けてきたといってもいい。
だが、買わずにはいられないのである。
夏の終わり、ある場所で発見する。
その箱には「ダンス!ダンス!ダンス!猫ちゃんが踊り狂います!」と
可愛い猫ちゃんが狂喜乱舞する姿のイラストが描かれていた。
私はそのお店で、しばし妄想し、ほくそ笑み、鼻膨らまし自宅に持ち帰った。
愛猫の喜びの顔が見たく、少しでも早くとタクシーで帰宅する。
箱から出して思ったのだが、パッケージとは違い派手さは全くない。
非常に簡素な地味な出来上がりである。
だが、きっとこのイラストのように紙のような暖簾が派手に回り出すと、我が家の猫達も大いにハッスルしてくれるに違いないと、家族を整列させ猫達を呼ぶ。
その肉球は野原で土を蹴り、思い切り走りたかろう。
身悶えながら存分に地面に身体をこすりつけたかろう。
風を感じ、虫を食べ、相方を求めどこまでも彷徨い放浪の旅へ。
その全てを制限していることは、生き物として幸福なのだろうかと。
ペットを飼っている人は一度は考えることだと思う。
2匹のデブ猫達は暑さでダレていた。
先ず呼んでも来ない。
だが、彼らは私の部屋に入ったとたん。
目論見通りに、そのおかしな小さなクルクル回るメリーゴーランド。
凝視し、なんじゃーこれは!と、すっとんきょうな可愛い表情を見せてくれた。
思うが如く、存分に!派手に!踊り狂うがよい。
だが、猫達は日常の佇まいに非常に敏感である。
普段ないものがそこに置かれていることに不信感を持つ。
凝視し、チロチロ飛び動く紙を噛みちぎり、口からペッと吐きだす。
その気にらぬ箱を一気に大破。
そして、憮然たる表情で、二匹は連れだってゆっくりと静かに階下へ降り、クーラーがガンガン効いたリビングに入って行った。
午後は概ね、西日の強い私の部屋にはおらず、階下のクーラーの効いたリビングで腹を出し存分にお股を広げ寝ていることが多い。全くもって獣の心を忘れ緊張感ゼロである。
この猫達が大好きなおもちゃは、私の部屋に垂れ下がったフェイクグリーンをいじりまくり、噛み砕き、飾られた小さな香水や置物を蹴散らすことである。
捨てようと思って置いた汚れた段ボールを発見し、出たり入ったり。
ひとしきり何か一人芝居し、ダンス、ダンス、ダンス。
カメラを構えると、何故か動きをやめるので柱の影で身を隠しながら目視している。
猫用のおもちゃには必ず、購入させるべく素敵な謳い文句が書かれてある。
だが猫と暮らし20数年。残念ながらメーカーが絶賛するような狂喜乱舞するはずの
おもちゃに、まだめぐり会えていない。
何度騙されようと、また楽しげなモノがあれば購入してしまう予感がする。
それは猫が楽しい気持ちになるのではないかもしれない。
きっと私がその描かれたようなダンスを見て楽しい気持ちになるからだろう。