フォード・マスタング・マック1
2013年11月14日 カテゴリー:雑記
息子達はどれだけの月日をかけたのだろうか。
そして、その父の愛車を全米中で捜し出すことはどれだけ困難だっただろうかと。
庭先で、かつてのその懐かしい愛車のエンジン音を聞いた時。
父は何を思っただろう。
父が24年前に手放した愛車である1972年式のフォード・マスタング・マック1。それは映画007でも使用された人気を誇ったアメ車である。
当時、父が初めて自分で買った車だったが生活のために売り払ってしまう。それからずっとこの愛車のことが父は忘れられず息子達に話していたという。
愛車への思いを知る息子達は何とか父にプレゼントをしたいと、息子達は家族全員でサプライズをしかける。
アメリカ・インディアナ州に住む、ある家族のキッチンから始まる動画で、このショートムービーだけでは、家族のこれまでの暮らしぶりはわからないが、どこにでもいる実直そうな平均的なアメリカ人で、その質素なキッチンの窓から見える庭先でエンジン音が聞こえてくる。
誰かが思わず。
「・・・・あれは何かしら?」
父がキッチンで、窓の外に目をこらしていると、遠く離れて見える車が、エンジン音を大きく鳴らしながら庭の中へと近づいて来る。父は徐々に信じられないという表情になりながら、それがやがて自分の愛車だったことに気がつくのだった。
驚いて動けずにいる父に息子は父を愛車へと誘い、父を強く抱きしめる。娘も孫も妻も皆、全員笑顔で、父は感動してただ号泣するのだった。
息子達はこの24年前に手放した車を苦難の末、フロリダ州で見つけ、持ち主の家を訪ね事情を説明し買い取らせてもらうことに成功する。
この家族のこれまでのストーリーをもっと知りたくなる。愛車を手放したのは、父になるための決別だったのだろうが、ゆるぎない今があるからこそ、過去を懐かしむことが出来て、それに答えるかのように子供達も、これまでの感謝と最高の愛情を示してくれたに違いない。
愛車の前で静かに夫婦で抱き合うシーンが私は一番好きだ。
妻にもその愛車での忘れられない思い出があったのだろうと。その後、父は真っ先に妻とドライブを楽しんだという。
車が男のロマンと感じることや、若き頃の愛してやまなかった愛車への思い、それは同じ男である息子達にしか理解出来ないのかもしれない。
「MACH1 Suprise」 というタイトルでYouTubeでアップされた動画は、父のこみ上げる表情と涙を見ると私も嬉しくなり、この家族の強い絆を感じてしまい笑顔になれるので何度も何度も見てしまうのだった。