素行 息子の職業
2013年11月07日 カテゴリー:調査記
いつからか母は長年別居をしている独身の息子の様子が全くわからなくなったという。
自立を境に実家とは息子は疎遠になり、正月に実家に帰って来るのが毎年ではなくなり、長年務めた勤務先も変わり、携帯電話もいつの間にか変わっている。
今、息子はどんな生活をしているのか。
今、どんな職業についているのか。
万が一、何かあった時に果たして直ぐに連絡が取れるだろうのか。
不安になる年老いた母です。
そんなことは本人に直接聞けばいいじゃないか。
自宅に訪ねて行けばいいのではないかと思われるかも知れません。
しっかりと離さぬようにと手を繋いでいた時から、ある時を境にその手をもっと強く握って引っ張ってほしい気持ちに変化して行くこともあります。
このようなお話を聞く度に、未だに被害者のある「オレオレ詐欺」「母さん助けて詐欺」を思い、これは離れて暮らす年配の母がいつも心に留めている子供の声を聞かされることで救済したくなる気持ちを悪用しています。
ご相談の中でも、このような親子の関係に悩まれるご両親からのお話をお聞きします。
親から離れて始まる生活の変化や関わる人物、小さなわだかまりの積み重ねで、ある日突然それはこじれてしまうこともあります。
どれだけ離れていても、会話をしなくなったとしても、激しい喧嘩をしたとしても、その愛情は消え去るものではないでしょう。
私はいつもこの母の上手く伝えられない愛情の深さを知ると、誰よりもあなたのことを心配しているのですと、息子さんに伝えたくなります。
何より、それが自分では混迷の尽きた上で、私共に依頼しなければならないことの苦しさと淋しさを知りながら、お受けさせていただいています。