ポエム
2013年10月25日 カテゴリー:雑記
「例のものは見つかったかい・・」
「いいえ・・なかったわ・・」
その言葉を聞いて、私は安心した。
あればきっと天井を破壊するほど爆笑するだろうと。
だが、それだけではすまない恥ずかしいを通り越し、君達は一体何を考えていたんだい・・・と自分を激しく論破するだろうと。
13歳の頃の私はポエマーだった。
同級生のF子は私の詩を読み何かを感じると、陸奥A子や萩尾望都風のメルヘンタッチで素晴らしいコラボをしてくれた。それは往復書簡のようにインスパイアするのか、F子はイラストで気持ちを伝えるのだった。
このポエムノートは互いのパッションのぶつかり合いであり、F子は唯一無二のポエムおたくフレンドだった。
F子は時々号泣して、感動して書けないと言ったかと思うと、狂ったかのように作画しまくり、私のポエムが追いつかないこともあった。
だが、一体何に感動し、何に涙したのだろう。
1行たりとも思いだせないが、きっとこの頃は、一番感受性が鋭かったのだろうか。
いや、世界一のアホだったのだろう。
無論ポエムは誰も知ることはなかったが、互いに突如スランプになって、「詩人の会」と称して時々、月を眺める夜の散歩をしていた。
翌日、満月のパワーを受けたF子はムンクの叫び、山田かまちの水彩画のようなダークな作画をいきなり見せつけて、この炸裂によって一体どんなポエムを書けばいいのかと、私をより混乱させたのだった。
再会してからポエムノートの話で盛り上がり、実家は蔵のある旧家で卒業アルバムや蔵書と共に絶対あるはず、今度探してみると連絡が入る。
探さなくていい。
頼むから探さないでほしい。
子供の頃の可愛い絵日記ではない。
ポエムなのである。
深夜に書いた自分に酔ったおかしなラブレター。
それらが数冊のノートに大量に残されている私の気持ちにもなってほしい。F子はイラストで和めるだろうが、私はポエムなのだ。
この大量に何かがほとばしっていたであろう過去との再会。
今の自分を再確認するものであり、止められない思いの深さがあることを私は知っている。
よもや50を過ぎて、己を論破する時が来るとは思わなかった。
どうか見つかりませんようにと毎日、神様に祈っている。