夕焼け
2013年9月24日 カテゴリー:雑記
電車の中でまっすぐ前を見て風景を見ている女性がいた。
長い時間、一度も携帯電話を取り出すこともなかった。
電車の中は勿論、雑踏の中、食事の席でも常にスマホに触れながらおしゃべりをしている人がいるが、これは、もう一人の友人と言うらしい。
電車の中で本を読んでいたり、この女性のようにまっすぐ前を見て座っている人を見ると、
凛として美しく思えるのはどうしてだろうか。
最近はファミリーで食事に来ているのに、夫はゲーム、妻はラインと、子供達はそれが普通のように食事をしている光景を何度も見た。
けして喧嘩をしているのではない、互いに会話しながらだったことに驚いてしまう。
仕事柄、携帯電話を一番利用しているのは調査会社の者ではないかと思う。
仕事の全てが常に瞬時に返答しなければならないからである。
時間の区切りなく電話は相談員にもかかってくるので、常にメールのチェックや調査中の連絡などが入るので、充電中も電源は落としません。
ただ、電車の中では、なるべく車窓の風景を楽しんでいたい。
美しいサーモンピンクの夕焼け、淀川を渡る風景は毎日違う。
その自然の成せるグラデーションの美しさ。
まわりの乗客を眺めるが皆、スマホいじりに夢中であった。
ただ、さっきまで淋しげな風情の女性がメールの着信を見たとたん、満面の笑顔に。
この表情の可愛さはどんな女優でも出来ない。
そう思い、納得していると久しぶりの依頼人の方からメール。
近況、新しい仕事の就職、今の気持ちを絵文字入りで。
私はメールの返信ではすまない高揚した気持ちになり、閉まりかかった電車を直ぐに下車して、おしゃべりに花が咲く。
携帯電話が入る状況を常に考えて日常を過ごしていることは、調査業の基本であるが、
仕事と称して知らぬ間に私も無神経になっていることが多いのかもしれない。
最近では、このじっとしている姿の人が、余りにもいなくなった。
電脳化が人間の気持ちと連動しているかのような気がしてならない。
街を歩きながら、車窓から、最近、何回夕焼けを眺めたかと私は数えてみた。