素行 逆ぎれする夫
2013年3月28日 カテゴリー:調査記
浮気を突き詰めると、必ず夫は逆ぎれをします。
暴力をふるうこともあって、そばにいる子供へも大きな声で怒鳴りつけます。
その状況証拠を掴んだ時に、ほとんどの方がその場で浮気を認めさせようと話し合いをしますが、夫はただ携帯を勝手に見たことに激怒し、その話し合いは何度も修羅場になっていしまいます。
「どこに証拠がある」
と言われ、まだ小さな子供がいる方は子育てが大変な時に、家が片付いていない、料理が手抜きだと家事の全てを指摘して、今までは日々の暮らしを互いに納得しながら生活していたのに、夫も突然に声高に叫びはじめます。
その叫びは浮気問題だけでなく、夫婦お互いに終わりなき戦いへとなって行き、何も変わらないことに疲れ果て、時を超えると一切お互いに話をしなくなり、沈黙の時間の中で心の中を知ろうとしていきます。
浮気に悩まされている方の多くから聞かされるお話は、浮気だけのことではなく、その結婚までの紆余曲折、親族との関わり方や夫の長年にわたる冷たい仕打ちなど、これまでの結婚生活の全てが入り混じっています。
「あなたのことを愛している」
「私にはあなたしかいないのです」
「彼女と会うことが私は辛くてたまらないのです」
ただそう言えたなら、夫も叫び続ける妻の姿だけでなく、愛しているからこそ怒りをぶつけ続けている心の内に気がついてくれるのではないかと、そう思ってならないのです。
かつて人間は字を知らない時代に、気持ちを石で現わしたと言います。
大きな石、小さな石、黒い石、とがった石、丸い石と。
遠く離れた相手の心に伝えるために、気持ちを現わす石を探し、受け取った相手はその石に触れ、撫でさすりながら、その心を知ります。
この石文はもっと生きることに過酷だった時代、人が動物的に最も敏感だった時代に、一体誰にどんな気持ちを伝えたのだろうか。
依頼人の方と出会い、その流れる涙を見て、気持ちの中に隠された愛情の深さにいつも気づかされます。その帰り道、思わず私は路傍の石を探してしまいそうになってしまう。
時として本当の気持ちを言葉に伝えることの難しさ。
この石文のように苦しみを、悲しみを、愛情を、静かにしっかりと伝えられたら。
どれだけいいのだろうと思いながら。