素行 妻のノート2
2013年3月25日 カテゴリー:調査記
妻というのは、携帯のメールなどチェックしなくても長年の暮らしの中で、夫がいつもと違う風情、表情、言葉使い等を見せる、その一瞬で何かを感じることが出来るようです。
不信に思い始めると、 一冊のノートに、チラシの裏側に、携帯のメモに書かれる夫の毎日の帰宅時間。その出かけた日の服装、相手へのメールや電話の発信時刻、その内容、帰宅して夕食は食べたのか、食べなかったのか、、、。
その前後に交わされた夫婦の会話、子供への愛情の示し方。
夫の暴言、義母の冷たい仕打ちの様も全て記されるようにもなり、浮気にのめり込み生活費を入れなくなったことで、日々の暮らしにも困窮し、その食費のやりくりまでもが書いていきます。
一緒に暮らすことは空気のようであることが、一番心を落ち着けることなのですが、家の中でも知らぬ間にその視線は夫への細部にわたって確認してしまいます。
いつしか、毎日書き記すことが日課となってしまい、自分の感情だけに支配されて、一体何が正しいのかがわからなくなり現実と想像が入り混じり、その妄想は大きく膨らんでいきます。
書かれた筆跡は筆圧も強く、字は乱れ、前後とりとめもない文章は暗号のように書いているので落ち着いた頃に読んでも、これが一体何の意味であるのか、判読不明の場合もあるようです。
中には簡単に破って処分出来る量でなく、自宅でも処分しにくいので、全てが落ち着かれた頃、依頼人から、処分して下さいませんかと頼まれることがあります。
この妻の心のノートの数年分は私にとっては、簡単に了解致しました・・とは言えません。もう一度じっくり読ませていただき、時の流れを知り、ここまでよく頑張って来ましたね・・と一緒に事務所のシュレッターにかけていきます。
この書き記すことは意味のあることで、調査のヒントになることもあります。
そして、家族であっても、親友であっても誰にも見せられない書き綴った妻の心のノートは相談員だけが読ませていただけるものです。
そして、全てをお話されなくとも、書かずにはいられなかった、この苦しい日々を深く知ることで、何としても、調査をご依頼された以上は、今夜からはもう書き記す必要等なくなりますから・・・と思いながら、いつも拝見させていただいています。