素行 夫の鍵
2012年11月26日 カテゴリー:調査記
夫のバックから1本の鍵が見つかったという。
それは会社の鍵でもない、全く家と関係のない鍵。
以前から不信に思っていたことが多くあった夫の行動。
機会を見て、その鍵について問いただそうと思っていたら
その後、その鍵はどこにも見当たらなくなる。
その鍵は女性の自宅の鍵ではないかと思います。
普段は車の中に隠していたり、会社に置いているのかもしれません。
その日は、多忙な一日で、うっかり鍵をしまい忘れたのだと思います。
今度、その鍵を見つけたらコピーしておこうかと思います。
コピー?なんのためにですか?
とお聞きしますと。
女性宅が調査で判明したら、自宅かどうか鍵を差し入れて確認したいという妻。
勿論、ピンポンは鳴らしてみますが、留守ならば勝手にやります。
でも、そのドアを開けたら、きっと部屋の中も確認してしまうかもしれませんね。
夫の寝巻きやら、シャツやらがあるはずですから、タンスをチェックします。
一体どんな女性なのか?
家の中を見れば一番よくわかるでしょうから。
夫は多分、その女とは数年の関係で海外旅行も行っています。
きっと若くて、ブランド物が大好きな女です。
私はじっくりと話を聞きます。
しかし、それが依頼人にとって不利になることがあれば強く注意し、意見をします。
勝手に人の部屋に入ることは犯罪になります。
見たくないことが視界に入れば正常な判断も出来なくなります。
夫や女の衣服を切り刻んで部屋を荒らした方もおられました。
では、それで問題が解決したのかといいますとそうではありません。
それはそれは悲しい行為ですね。
本当はそんなことしたくないはずです。
わかっています。
そんな気持ちにさせてしまうほど辛いことであること。
鍵は二度と見つかりませんでしたが、調査で女性宅は判明しました。
女性の自宅に向かうといった妻でしたが、やはりそれはしませんでした。
本当に、そんな大胆なことをされる方は相談員に言いません。
それが正しい行為なのかどうか判断してほしい。
「それは間違っている」と 止めてほしいのだと思います。
調査の効能はやはり気持ちを落ち着かせるものだと思います。
女性はブランド好きな若い女性ではありませんでした。
自宅の中など確認しなくても女性の氏素性など全て真実を確認出来ます。
ただ、いつも感じることは夫に対して怒っているという気持ちは憎しみだけでなく
どこかにそれをなんとかしたい、修復したいということです。
それをわかった上で、相談員である私は毎回、依頼者から人間の心の裏側にある
普段は現さずにいて自分でさえも気がついていない
心の中からの叫びのようなお話を聞かせていただいています。
もう10年前になるでしょうか?
依頼人である妻の方と初めてお会いしたのは。
どれだけ激しい関西弁の口調でも、何か暖かく感じる方でした。
夫とは苦難の道のりの中、一緒に会社を興し、ようやく軌道にのった時期。
家庭では多くの親族縁者の方と生活を共にし、常に明るい姿でいることが要されて
明るく元気な肝っ玉母さんでもおらねばならない。
誰にも弱みを見せることが出来ない方でした。
鍵を見つけてもすぐに問いたださなかった妻です。
しばし考えて、それを深く静かに一旦心の中にしまいこむことが出来る人は
どんな状況になっても、いつの日にか、必ずかつての日常を取り戻していかれます。