足の爪
2012年9月07日 カテゴリー:雑記
今、女性の足の爪が気になって仕方ない。
サンダル、高いヒール、先っちょが三角の武器にもなるパンプスを履かれる女性達。
若い頃は少々足が痛くとも、立ち姿をカッコ良く見せるためには辛抱して履けるものです。
私も出来ることなら7センチくらいのヒールやパンプスは一生履いていたいほど大好きでした。
しかし、ある日突然に足の親指に猛烈な痛みを覚え、ネットで事前に調べると
「陥入爪」ではないかと。
足に合わない靴を長期間履くことが原因らしく、足の指先に爪がめり込んで痛みは時に激痛にもなる。
陥入爪が悪化した画像をチェックすると、頭の先まで痛みが走り、もう私は皮膚科に予約を入れていた。
クールビューティの女医さんは私の足の爪を見るなり、早急に痛みを取るならば、金属のワイヤーを爪に固定するしかないという。そのワイヤーを見た瞬間、恐れおののき、一体どうやってあのシザーハンスみたいなモノを足の指に装着するのだろうか。もうならば下駄やぞうりしか履けないではないか。
思わず「ビルケンシュトック」を購入に走ろうとも思った。
一切笑わない女医さんは、現段階で、これでも初期の内に入るらしく、消毒した脱脂綿を爪の間に入れることで緩和され完治することもあると。
しかし、きっちりと堅く閉じられた爪の間に脱脂綿を果たしてどうやって入れるのか、これも何か嫌な予感がしてならない。
しかし、時間の猶予もないと判断し根性を決め、足の爪を差し出すと爪楊枝で消毒された小さな脱脂綿をクリクリと爪のサイドから入れ始める。
立派なワイヤーを見せられた後だったので、このクリクリは非常に原始的な地味な治療行為に思える。
クリクリ攻撃は激痛でもあったが1分ほどだろうか。
一切笑わない女医さんが爪楊枝を持ち、背後に看護婦さんが私を動かぬようにと押さえ、真剣に爪の四隅へのピンポイントを狙う姿。痛いとは言えないがストップとは言う。
その後、爪の成長と共に挟まった脱脂綿は自然と抜けたが、交換は自分でやるようにと言われたが按配が難しく、痛みも引いたので今はそのままである。
放置して悪化すると大変だが、すぐに命に関わることでもないせいか、ネットでは自己治療の成果がいくつかアップされている。
しかし、先ずはプロの意見を聞いた上で判断したい。足の爪の病は女性に多く、働く女性なら皆、経験している悩みではないだろうか。
男性の靴も先がとんがった形、ロングノーズタイプのビジネスシューズを見かけるようになった。今は若く足の皮膚も強靭でファッション優先でいれるだろうが、その反動は突然やってくる。
いつか、自分へのご褒美として、フォルムの美しいジミーチューのヒールは、あきらめたくないが、しばし お預けとして長らく頑張ってきた自分の足のケアに努めたい。
そして、電車の中で綺麗なペディキュアされた美しいタイトなサンダル姿の女性を見ると見惚れてしまうが、親指が潰された形になっていないかと心配になる。
時々、誰もいない事務所でひっくり返りながら、自分の足の爪をチェックしている。
何度か脱脂綿挿入もトライしたが角度が難しい。
痛みも爪の入り具合も安定したら、このまま放置しても大丈夫でしょうか?と聞いた時。
一切笑顔を無駄に見せないのも命をあずかる職業ゆえ真剣勝負の表れだろうか。
私の顔をまっすぐ見据え、はっきりと静かに「いいえ、いずれ進行して行くでしょうから脱脂綿は当分入れ続けて下さい。」
私の親指は丸こいみたらし団子をつぶした様な形になって、爪のサイドは身体を丸めてもはっきりと見えない。家族や信頼する友人に頼んでみたが恐ろしくて出来ないと言う。
女医さんは、誰かに似ているかと思えば、あの冷徹な役を演ずることが多かった女優シャーロット・ランプリング。終始、上目使いの静かな低音の語り口。
自分ではどうすることも出来ず会いに行かねばならないが、是非ともこのクールビューティな女医さんを何としても笑わせたいと思うのは、1分間の爪楊枝治療への現実逃避かもしれない。