おじさん図鑑
2012年8月04日 カテゴリー:雑記
この本のサブタイトル。
「全ての若者に捧ぐ。おじさんになる前におじさんを知るべきだ」
「おじさん」の仕草や言葉には長年社会を歩いてきた人生が詰まっています。
それはくだらなかったり、タメになったりと千差万別。
その隠れた素晴らしさ、若者にはまだ携わっていない味わいを伝えるべく、取材し観察して
図鑑としてまとめ、今まで気にしていなかった「おじさん」を楽しむガイド本であると書かれています。
ブックレビューで気になり、本屋で手にとって読んでみる。
全編イラスト、スケッチが中心なのだが実に面白い。
このようなカテゴリー化されたおじさん達は、確かに多くいることに気づかされます。
このおじさんはあの方だと断言出来るほど、ファッション、ベルトの位置、立ち振る舞い、表情が同じですから。
スケッチ系の本は昔から大好きで、古くは永沢まこと氏の人物イラスト本。
味のあるスケッチのあの「ニューヨーク人間図鑑」を思い出します。
文章だけでは上手く表現出来ない、何ともユーモラスな味わい。
気持ちがちょっとナーバスになりかけた時、カフェでまったりしながら眺めていると和んでしまう。
特異なタイプばかりラインナップされているわけでありません。
100近くあるタイプのおじさんは、どこにでもいそうなおじさんばかりです。
例えば。
普通のスーツのおじさん。
アート系のおじさん。
仙人おじさん。
カメラ好きなおじさん。
スポーティーなおじさん。
秋葉原のおじさん。
チョイ悪なおじさん。
ニューフェイス系のおじさん。
ハイウエストのおじさん。
ユニークなヘアスタイルのおじさん。
うるさそうなおじさん。
かわいいおじさん。
たそがれるおじさん。
これらのラインナップされた、おじさん軍団の生態系がより具体的に突撃取材を元に
スケッチされ、苦労も多かっただろう団塊の世代を中心に描かれている。
無論、全くネガティブなことは書かれていない。
しかし、その笑顔の裏側に、どこかおじさん達の哀愁を感じてしまうのは何故だろう。
これはけして、おじさんをネタにお笑いにするために書かれているのではないだろう。
現在31歳である著者である、なかむらるみという女性が若い頃に感じた、おじさんの謎。
おじさんの粋さ、可愛さ、憂いさ、不思議さに惹かれ、おじさんの生態系をもっと知ろうとした愛情の賜物の作品でもある。
では、次なる第2弾「おばさん図鑑」を作ればと思ったが、女性だとこんな風に味わい深くならないような気がする。
おばさんはスケッチの枠組みを飛び越え肉声を発する動画的でないと全く味が出ない。
やはり、ある年齢を差し掛かった男性は皆、何か可愛らしさと孤独があいまっているからだろうか。
そして、私もおばさんなのだが、この本を読んでいると、そんな愛すべきおじさんと言われる方達とじっくり腰をすえてお酒でも飲みたくなってしまう。
そして、常々から疑問に感じていることをこの際に聞いてみたい。
どうして、あなたは、ベルトをそんなハイウエストで締めておられるのかと。
そのド派手なシャツは、セカンドバックは、どこで購入されたのかと。
天神橋筋商店街には、この図鑑に載っているおじさん達がたくさんおられます。
どれだけ若い気持ちでいても、おしゃれ心を忘れないでいても
傍からみるとただのおじさんという無念さ。
自分が一体どのおじさんのカテゴリーに位置するのかと、チェックしてみると面白いかもしれない。
尚、事務所の調査員方も全員このカテゴリーの中で早速発見する。
どんなおじさんであるのかは言えないが密かに悦に入っている。