素行 夫のラブレター
2012年6月20日 カテゴリー:調査記
夫が書いたラブレターを1通見つけたという。
それはまだ書きかけ、途中のもの。
驚いたのは遠距離恋愛をしていた頃に夫から、よくもらったラブレターと
全く同じような文面だったこと。
夫はロマンチストと思います。
音楽を聴いていても本を読んでいても、詩や言葉に敏感でメモをしたりする人です。
夫は遠距離恋愛中も毎週手紙を送ってくれて、返信を書かねばと思う頃に、また1通送られてくる。
手紙ではあれほど優しく心に染み渡るような言葉がたくさん書かれているのに
会うと寡黙になる人でした。
男性の方が圧倒的にロマンチストであり、寂しがり屋かもしれません。
寂しいということを平気で言えるの何故か女性だけです。
男性は常に強くあり続けなければならない生き物のようです。
気持ちがどれだけ落ち込んでいても寂しい心を打ち明けません。
そんな男性の選んだ妻は明るく元気で、細かいことに動じず、そして非常に優しい。
夫への気持ちをユニークな方法で表そうとします。そのラブレターに妻は返事を書いて引き出しにしまったという。
それが出来たのは調査で女性が判明し、まだそれが始まったばかりの罪のない
家庭を壊すほどの関係ではないことや、想像していた女性とは全く違うことを知り
心は少しづつ落ち着いていきます。
かつて夫からもらったラブレターを探し出し何度も読み返します。
結婚までの紆余曲折。
子供の成長、進学、両親との関係、その関わる人の多さ。
何度も離婚しようと喧嘩が絶えなかった頃もありました。
どんな家庭でも結婚生活を続けて行くと、一冊の本が書けるほどのドラマがあります。
結婚生活は何かが起きた時に、それを続けるのか、終わりにするのか。
自分は何を夫に求めていたのかと。
過去を何度も振り返ります。
返信は言葉ではなく手紙で下さいと書かれていましたが、
読んでいるはずの夫から返信は来なかったという。
内容は夫婦だけにしか知りえないエピソードが散りばめられていて
家族でもない私が読ませていただいても、泣けてくるものでした。
今やラブレターなど書いている人はいるのだろうか?
と思われるかもしれませんが、それはメールのように一瞬で消せるものではなく、
紙は色褪せ、字は薄くなって行っても、その癖のある字をじっと眺めていると、
深夜、自分のことだけを想ってくれながら書いてくれていること。
その想いは心の中に優しく伝わってきます。
深夜に書くラブレター。
朝、読み返すと、それはそれは恥ずかしい限りのようです。
でもそれが本物のラブレターであり、明るい日差しの中に隠された本心なのでしょう。
夫が妻のラブレター読んで何故、返信が書けなかったか気持ちもわかります。
いつかまた自分にラブレターをくれるよう”一緒にいたい”と言った妻の気持ちもです。