人と話をすること
2012年4月26日 カテゴリー:雑記
私自身が悩みが深く、沈んでしまっていた頃。
誰とも口を聞かない、うまく話せない時期がありました。
それは自分が離婚を決意するまで続きました。
何かで女優のインタビュー番組を見ました。
現在、売れていて、若く美しく、生意気とも酷評される女優です。
演技をしていない時に自分のことを語るのは、いくら演技派の女優でも台本にない質問をされたら、そのアップにされる顔は素に近い表情が現れます。
その女優は20代半ばでしょうか。
ある映画で主演をしてから、演技をすることの壁にぶつかり、監督や演出家の言っている意味が全くわからなくなったそうです。
それでも中途半端な演技のまま、次から次へとオファーはやってきます。
今の時代は少しの失敗がインターネットではもう終わったと酷評されます。
このままではいけないと毎日ジムに通い身体を鍛え、多くの映画、舞台、音楽を聞く日々。
自分に足りない何かを求めて、あらゆるジャンルの本や哲学書まで読み漁ったそうです。
脳をフル回転させ、身体も徹底的に絞り上げること。
しかし、ある時に、自分自身がパンクしてしまう。
多くの本物の舞台や気持ちが震えるくらいの音楽を聞いても何も感じなくなる。
一体自分は何がしたいのだろうかと。
本をいくら読んだところでその答えは見つからず、経験のない話を知るだけ。
詰め込みすぎて、そのメニューはただあふれ出すばかり。
全く心に入っていかないことに気が付きました。
今の自分に足りないこと。
人ともっと交わって顔を見て話をする生活をしていないことに気が付きました。
喧嘩をしたり、笑いあったり、泣いたり。
私はこう思うけれど、あなたはどう思う?
私の考えは間違っていないかしら?
すれ違った意見でもいい、他の誰かと真剣に語り合うことを忘れていました。
そうすることで自分自身が見えてくるのではないかと。
まだ20代だというのに過酷にも女優の道をを選び、その表現することの難しさを知る。
それを深く考えると、見た目の美しさだけで生き残ってはいけないのだと。
もっと人間味あふれる魅力的な人間になりたいと思う。
その若さで内面に気が付いたことに驚きました。
どんな人とでも話すと言うことは非常に神経を使います。
言い過ぎてはいないだろうか?
傷つけてはいないか?
ちゃんと気持ちを伝えきれているだろうか?
聞くことの難しさはそれ以上です。
私が離婚をして話せるようになった時のことは、もう思い出せないほど昔です。
確か休職中でしたが職場の上司に電話で
「明日から出勤します」
と先ず伝えました。
そこから今の仕事が始まったような気がします。
彼女はきっとつぶされずにいい女優になるでしょう。
たとえ女優でなくとも、心が豊かな大人の女性になるでしょうね。
読みきれなかった本も、時が経って読み込むことが出来るはずです。
人と話すことから、愛情が生まれ、悩みを分かち合い、自分を知ります。
今、悩んでいることで時が止まった方がいらしたら、どうか無理に話そうとせずに
それは巣篭もりの時間なのだと思ってほしいです。
いつか必ず人はその巣篭もりの時間を過ごしたことも、誰かに話したくなります。
長い人生を過ごします。
立ち止る時間や休息をする大切な必要な時間です。
そして、ようやく人と話をする時から新しい何かが始まります。