最後まで読めない絵本
2012年2月09日 カテゴリー:雑記
最後まで読めない絵本があるという。
A氏が子供に読み聞かせていると・・・。
途中から涙がこらえきれなくなり読めなくなる。
しかし、父として必死でこらえながら読むそうです。
その感情をこらえながら最後までチャレンジを試みる。
だが、やはり耐えきれず余りの苦しさから梅干しを10個 口に含んだかのような顔になってしまい、最後まで一気に読み切れないらしい。
子供は無邪気に聞いているので、何度も何度も繰り返し・・・。
誰もいないリビングでそっと開き、再度ひとりでチャレンジする。
だが、それでも一気には読み切れなかったらしい。
ついに妻にどうしてこんな本を買ったのだ! 最後まで読めん!と。
わけのわからない怒りさえぶつけてしまうそうです。
しかし妻も同じく、「そうでしょ・・私も読めない・・・・」と。
その話の場にいた子供を持つ方も、持たない方も絵本談義になりました。
普段、何事も沈着冷静、ポーカーフェイス。写真撮影の名手でもあるA氏。
たとえ子を持つ親でも、梅干し顔は想像出来ません。
絵本には数々の名作があり、子供のときには理解出来なかった
奥深いものが多くあって、たまに読みます。
アマゾンで早速チェックし、レビューに書かれた文面を読み、まだ読んでもいないのに不覚にも涙、先が思いやられる私です。
まだまだ知らない世界があるようです。
早速、A氏に絵本を貸してほしいとお願いしました。
「電車の中では読んではいけません・・・」と再度注意のメール。
文庫本じゃないのですから、読むはずもなかろうと・・。
深夜、ソファーに座り、ランプの灯りの下。
久しぶりに声に出して読みます。
聞いているのは猫2匹。
亡くなった父を思い、誰かを思い、静かに泣きました。
全ての人が泣けるものではないかもしれません。
泣けないからといっていけないわけでもありません。
物語は実にシンプル。ただただシンプル。だからこそ響くのかもしれません。
一人では生きていけない。
強がっていても本当は淋しい。
本気で愛し、愛されれば、どんなに辛いときでも強く生きていける。
愛する者のために無償に一生懸命生きて、そしていつか死んでいく。
その愛情の姿は共に過ごすものにしかわからないことです。
これは間違いなく愛する者を持つ者へのメッセージでしょう。
子供の頃に読んでくれた絵本は自分が親になった時、語りつぐものです。
どうして父がこれが最後まで読めずにいたのか親になって、
その意味を知り、また同じように最後まで読めないことでしょう。
「あいしてくれてありがとう」絵本の時間 (株)ポプラ社
ティラノサウルスシリーズ
宮西達也 作・絵