仙台の朝
2011年5月09日 カテゴリー:雑記
明け方近くでしょうか。
やっと寝ようと決めたのは。
2階の客間に布団が二つ。
彼女はご主人のいる寝室にはいかず、今夜は私と寝るつもりでいたようです。
そして部屋にあるアルバムを見ながら、子供の頃の話へと誘うのでした。
読書家の彼女。
部屋は壁一面、文庫本がぎっしりと並んでいます。
「地震きたら、ちょっと恐いね~」と言うと。
「大丈夫よ~向きがあるみたいで、前も崩れなかったし~」
なんだか、彼女といると、何か安心感に包まれて本当にここは被災地なのかと思ったりしますが、自宅付近はがけ崩れも多くみられ、自宅を片付けるのに1週間かかったと言っていたので・・。
電気を消しても隣にいる彼女は元気はつらつ。
私が目を閉じても話続けます。
8時前、彼女の熱い視線を感じ、びっくりして目を覚ますと。
「起きた~?何食べたい~サラダ~ヨーグルト~ブドウパン食べるぅ~それともご飯~~」
「・・・・・・・・・・・・・。」
あと、まだ1時間半ほど寝かせてほしいと言ったところ、
元気よく、1階のキッチンに降りていき、家事をする気配を感じながら私は2度寝したのでした。
テレビは1局24時間、被災関連情報番組を流しています。
そして、私には気がつかない小さな震度さえ彼女は揺れていると言って、確認すると確かに地震は起きているのでした。
阪神大震災の時に私もそうでしたが、何か体が動物的に敏感になって、いくら笑っていても神経が過敏になっていたような気がします。
町は静寂で、のどかで、いつもの日常のように見えます。
しかし、20キロ先の沿岸部はガレキの山ということに、どうしても信じることが出来ないのです。
哀しんでばかりいても、何も生れないのかもしれません。
人は食べて、仕事をしなければ、前に進まないのですから。
洗面所に置かれた被災グッズの数々が準備されているのをみて紛れも無く、彼女は被災しているものの、運良く助かったのだと思うと、息継ぎせず昼夜話続ける彼女によく頑張ってきたね、恐かったね、と抱きしめてあげたくなるのでした。