けものたち9
2017年2月16日 カテゴリー:雑記
あなたは何をしている時が好きかと聞かれたら。
犬のリードが外され、舌を出し無邪気に走っている姿を眺めている時間だろう。
阪急電車が長柄橋を越える時。
土手を走る犬たちの歓声が車内にまで聞こえるのは私だけだろうか。
犬たちがそこで散歩を楽しみ、都会暮らしではいつもは出来ないであろう、思い切り走っている犬たちの姿がそこにある。
結婚していた時、この土手の近所に住んでいた。パートを終え夕方の買い物まで、冬はポットに入れたコーヒーを飲みながら犬たちを眺めるのが日課だったことを思い出す。
FBは全くといっていいほどプライベートのタイムラインはアップしていないが、最近、FB本来の良さを知って心を熱くした。
イギリスの南西端、コーンウォールには美しいビーチが広がっている。ウィペット種のウォルナットは、ここにあるポースビーチで飼い主のマーク・ウッズさんと散歩するのが大好きだった。しかし、高齢のウォルナットは病気に勝てず、安楽死を迎えることが決まっていた。
安楽死の数日前の11月8日。
飼い主のマークさんがフェイスブックにこんな投稿を載せた。
「この日、私はウォルナットを連れ、彼のお気に入りのポースビーチで最後の散歩をする予定です。ウォルナットの生きた18年間の人生はすばらしいもので、たくさんの思い出を残してくれました。そんな彼に最高の最期の思い出を作ってあげたいと思っています。犬を愛している人、飼っている人など、ウォルナットの最後の散歩に付き合ってくれる人がいれば大歓迎します。時間は午前9時半からです。ビーチでお会いできるのを楽しみにしています」。
このFBでの小さな呼びかけが犬を愛する人たちの心を揺さぶり、その輪が次々と大きくなって愛犬を連れた何百人がこのビーチにやってきたようだ。更にこの話を動画で見て、絶対に泣くまいと思った瞬間、涙がナイアガラの滝の如くあふれ出た。
その後、彼のFBによると。
ウォルナットは午前11時56分、家族とほかに飼っている3匹のウィペット犬、ノンティ、ネルソン、チャーリーが見守る中、私の腕の中で静かに息を引き取りました。
これを書いているのは、今日、私や家族、そして何よりもウォルナットのサポートをしてくれた人への感謝を述べるためです。実際にビーチへきて一緒に歩いてくれた人、離れた場所にいてビーチへ来ることはできなくとも、同じ時間に愛犬と散歩をすることでウォルナットを想ってくれた人、本当にどうもありがとうございました。このことは一生忘れません。
ウォルナットが最期の眠りにつく前に、皆さんから届いたメッセージにあった1つの詩を読み聞かせました。ぜひ皆さんにもこの詩を読んでいただき、生きていることのすばらしさ、そして、ペットが人間に与えてくれる優しい世界を、多くの人とシェアしてください。(カラパイア・ネットニュースより抜粋)
詩が添えられていたが、涙で読めない。
これまで私が愛したものとの最後の別れを思い出し、ただ涙がこぼれてしまう。
人間ほど愚かな生きものはいないだろうと。だが、犬は飼い主を生涯の友として親として愛する人として、置かれた世界を信じて、ひたすら帰りを待ちわび、たた傍らにいてくれる。
吹きすさぶ風の中で走り抜ける犬の心臓は早鐘のように鳴り響く、触れる身体は熱く毛は逆立つも柔らかく、けものの匂いがあふれだす。私はその中に顔をうずめるのが大好きだ。
お友達がFBで猫の動画をアップした。
いかん。
何度も見てしまって仕事を忘れる。