探偵社に依頼すること2
2016年12月09日 カテゴリー:雑記
日々、様々なご相談が寄せられる。
大きくわけて所在調査、浮気調査と言っても100人いれば100通りの人生があるので、一つとして同じパターンの内容はなく、経緯をしっかりと聞かせていただく。
最近よく言われるのは。
「これは・・簡単な調査だと思います・・」。
この言葉は少なくとも20年近く前には相談者の口から聞くことはなかった。ネットの情報に左右されすぎているのか、相談段階で簡単に判明出来ると思っている人が多くなった。
私はプロなので、短いお電話での無料相談の段階で探せる、探せないの判断はある程度出来るものの、最近一番多いのは名前もよくわからないlineだけの情報のみで探してほしいという相談であろうか。
探偵社が膨大なデーターファイルを持っていて、端末キーをたたけばアカウントや名前から簡単に現住所までたどり着くと思っているのかしれない。
どのお話もじっくり聞けば簡単なはずもなかろう内容で眩暈がして、果たして運よく探し出せたとしても、最後はどんな別れ方だったのか、トラブルを含んでいなかったのか、探す相手のご事情を察しないとお受けすることが出来ない。
それでも、そこにこだわり続け一歩も前に進めない不器用な人達が多くいることを日々痛感している。
聞けば話は過去にさかのぼり相談者のこれまでの環境や人間関係の孤独を知り、もうこだわるのはおやめなさいよ言いたいのを堪え、心が揺さぶられてしまう。
この職業に入った時、数々のトラブルを経験してきた。
その多くは浮気調査で判明した相手女性宅、浮気現場に乗り込んでしまったりと調査後のてんやわんやである。
ある女性は何度も浮気する夫の不実に発狂寸前で事実を確認した後、自殺をほのめかす電話を私にかけてきた。
深夜、私は駆けつけたが夫はその場所に駆けつけず、これで覚醒したのか離婚の決意をしたが、私は電車が動き出す時間まで、24時間やっていた喫茶店で依頼人と一緒にいたのは20年近く前の話である。
或いは調査で全てが判明して解決しても、その後、浮気された側の裏切られた思いはとてつもなく深く、その呪縛から逃れられなくなってしまう人がいる。
最近、某勉強会で教えていただいたお話に納得した。
それは以下のようなものだった。
「医学的にネガティブな祈りや、呪い等しつこくそのような思考回路にいると脳にコルチゾールが増え海馬が委縮し、アルツハイマーやリンパ球の機能を著しく低下させ、鬱状態から抜け出せなくなる・・・・」。
コルチゾールはストレスホルモンらしいが、まさに私は医者ではなくとも、愛憎が生み出す複雑な心理は神経がもはやコントロール出来なくなり、激しい心の有り様を見てきたのだった。
探偵社に依頼することは人生の一大事、心は大きく振り子のように揺れ続けるが、依頼することはネガティブなことではなく、今後の自分らしい生き方をするためのものであることを知ってほしい。
ちなみに20年前に深夜に駆けつけた場所は、現在はキタの開発地域になっていて大きなビルが建築中で当時あった純喫茶店もなくなって、全く当時の風景が思い出せない。
久し振りに寄り道してみたが、そこに立つと思い悩む人達に濁りのない気持ちでいるようにと私の心の中を風が一掃するが、確かあの日はクリスマスイブだったと今、思い出した。
私はいつも別れ際、或いはしばらく経ってから依頼人に聞く。
「依頼して良かった?」
その答えを聞いているから、何とかここまで続けてこられたのかもしれない。