ゆるりまい的、断捨離
2014年10月27日 カテゴリー:雑記
夕刻、めったに会わない女友達A子から電話が入る。
「今から会えない?」
どうしたの?何かあったの?
など、普段から一切聞かず、共に多忙であり、時間が合えば直ぐに会いたい親友である。
A子とは40年来の仲で、お互いの青春時代の恥部や全ての恋愛の目撃者で、30代後半、共に何かを失ったが、高め合ってきた同志である。
待ち合わせの場所でA子は大きなユナイテッドアローズの紙袋を両手に抱え立っていた。
それはいつもと違う何か心を騒がせる出で立ちであった。
席に座るや否や、どうしても捨てられない洋服があるので受け取ってほしいと、はるばる1時間以上かけて電車に乗ってやって来たのだっだ。
似合いそうなのを持ってきた。
ミニのデニムのスカートはアメリカンサイズ。
スパッツと合わせると全然イケるからと言う。
イケるからと言われた言葉を信用するしかなかろう。
自宅で密かに一人ファッションショーを行ったが、全くイケなかった。
どれもチャックが閉まらず、唯一イケたのはGAPのコットンベストである。
だがこれに合わせるスタイルが全く思いつかない。
A子のクローゼットにはバブル時代の肩パット付きロボットスーツが今も並んでいるという。アパレル関係にいたので当時のデザイナーズブランドも全て残してあるらしい。
女の装いはまるで鎧のようである。
それは大切な誰かに見せるためのものであって、簡単にゴミに出したり、リサイクルショップに出すことが、躊躇ってしまうほど中々捨てられないものでもある。
洋服に支配されつつある部屋の中で急に思いつき、これしか運べなかったらしく、自分では処分のジャッジが出来ず、ならば一緒に断捨離をしようと近日、自宅へ行く約束をした。
10代の頃、衣服は安価な品は今ほどなかったが、ファッションを絶えず追いかけ、ボーナスで購入した服も、ほぼデートのためにものだった。
もはや全く鎧を付ける必要もなくなったが、失ったものより、今となれば得たものの方がありすぎる。
A子のクローゼットを開けると10代から30代までの女として一番輝いていた時代の遍歴で、これを着て誰と会い、どんな音楽が流れ、何を食べ、どこに行ったのか。
恋愛の道中、涙することもあったが、お互いの懐かしい青春時代を思い出し心の底から笑いあえる、そう思って楽しみにしている。
そして、せっかく頂いた品々をこなせなかったのは、私の風貌とスタイルの問題であって、けして古いものではない。
エディーバウアーなどのカジュアルスタイルが多く、ミニスカートを躊躇するアラフィフ世代の友人をスパッツで合わせたらイケるから説得しようと思っている。
50を過ぎて、そろそろモノに支配されず、「ゆるりまい」的な断捨離を行うことが究極なのだが、濃い青春を過ごした私達はきっと、過去の思い出に埋もれて暮らしていることも幸福なのだと思っている。