83歳のファッションブログ
2014年2月13日 カテゴリー:雑記
時々、街ですれ違う人の中で、その装いに心をグッと掴まれることがある。
だがその多くのファッショ二スタは一瞬で消え去る人である。
今、私は83歳のアリおじいちゃんのファッションブログにくぎつけになっている。
その装いは命名するならば時にマフィアのボス、アルカポネ。
大佐のオフスタイル、釣り人、アルプスの少女ハイジのおじいちゃん、森の中から現れた熊ちゃん、リンゴ園オーナー、競馬場にいるおっさん、エミネム、吉本芸人風。
どれ一つとして同じテイストではないということは、アリおじいちゃんが人生を愉しみながら、いかにお洋服が大好きかと伺えよう。
決めはお帽子であろうか。
手には時折、お数珠のようなアクセサリーを突き出して、どうやらバックに関しては余り力を入れてないようで、エコバックのようなズタ袋を提げていることが多い。
独特の編み出したポージングはギャングスターのような傾きポーズとあるが、日本人からすると、おひかえなすってポーズではないかと爆笑されている。
私はこのファッションの中でもフェラーリーオーナーと命名された全身真っ赤な色で決めたロングコート、スーツ、靴、キャップ。
そして、やっぱり真っ赤なお数珠を持ったアリおじいちゃんの写真が一番好きだ。
この色を嫌味なく、これほど可愛らしく着こなせる男性はサンタクロースしかいないだろうと思う。
このアリおじいちゃんの発見はベルリンのカフェで働く、20代の女性ゾーイが開店準備をする毎朝、9時5分にとってもおしゃれなおじいちゃんを見つけたことから始まる。
その着こなしが気になり始め、一度として同じ服装をしないことに驚き、数週間かけて挨拶したり頬笑みかけたりしながら、徐々に心を通わせるようになったという。
ゾーイは写真家でもあり、写真を撮ってもいいですかと尋ね、What Ali Wore(アリが着ていたもの)というファッションブログを立ち上げたという。
アリおじいちゃんはトルコ出身で18人の子供がいて、医者を退職してからは洋服の仕立て屋をしているそうで、着る服はほとんど自分で仕立てているらしい。
初めてゾーイの手にキスをした時、空にもキスをしたという。
とてもチャーミングなおじいちゃんである。
纏う服は時々、攻撃的な装いもあるがどうしてだろう。
大らかなムードに包まれて、全然マフィアに見えないところが可愛い。
ファッションは若者だけのものでない。
年を重ねてからどんどん味が出て、その纏いを脱いだ姿も知りたくなってしまうことが究極のファッションスタイルであろう。
アリおじいちゃんのこれまでの人生、家族、仕事。
その装いの姿を見て、どんな生き方をしてきたのだろうと思いながら、楽しく拝見させていただいている。