調査報告書
2013年6月05日 カテゴリー:調査記
事務所では厳重にロックされた書棚に調査報告書を保管しています。
自宅に置けない方や、諸事情によって弊社で無料でお預かりしています。
法的な有効期限もあるので、少なくとも3年以内には有効にお使いいただきたいのですが、裁判をするしないに関わらず、生まれて初めて調査依頼をしたその結果を受け止める気持ちや、今後どう動いていけばいいのか、しばし時間が必要なのかもしれません。
男性の方は特に自宅に保管する場所もなく、勤務先でもその内容から万が一を考えると保管することも難しく、報告書を手渡して、落ち着かれてから弊社へ保管をお願いする方もいます。
調査報告書とは、映画やドラマなどでは写真が数枚貼られた薄い冊子のようになっています。実際の素行調査の報告書とは裁判で通用させるために、全てが時系列の動きで、対象人物達が特定出来る写真のアングル、不貞や詐欺案件などは個々、専門的な知識が必要になり、おのずと写真は多く添付されています。
1日5時間素行調査をした場合、対象人物が大きく動いている内容であれば50ページ前後になる場合もあります。それが数日ともなればタウンページほどの厚みになって行きます。
依頼人の方にとっては時間の流れの中での風景や高速を車両尾行するシーンなどは気にも止めないかもしれませんが、相談員の私はその報告書をじっくり読むと、対象人物が眩暈がするほど難解な動きをしていることに気がついて、難易度の高かった尾行であったと理解します。
依頼人の方にとっては、不貞の確証が取れたのか、取れなかったのか。
50ページあっても興味があるシーンは数枚なのかもしれません。
ただ、そのたった1枚のシーンを撮るためには、早朝から一日の時間の詳細を追いかけ続けることが必要で、前後の時間の流れは裁判では重要なのです。
裁判の有効期限が過ぎてもお預かりしている報告書もあります。
裁判など考えておらず、ただ行動が知りたいという方もいて、その真実を知ると長年の霧が晴れて心が徐々に変化していくようです。
依頼人の方から信頼を頂いたその答えを現わすことが出来るものが報告書です。報告書は時がどれだけ経っても、ゆるぎない事実が残されています。
その依頼に至るまでの長く葛藤した時間と流れる涙。依頼人は報告書を受け取るその日まで、まだ解決出来ていない時間の中で、ただ、じっと待つことしか出来ません。
そして、ようやく、その報告書をお渡しする準備が出来た時。
私は心からこの仕事を選んで良かったと思う瞬間でもあります。