調査員O氏 SONG
2013年1月26日 カテゴリー:雑記
昼下がり。
事務所でパソコンの前にいると、バイブの振動ような音が聞こえたような気がして携帯電話を思わず確認してしまったことが何度かあった。
注意深く耳をこらしていると、80年代洋楽ヒット曲ナンバーが流れてきた。
O氏は気分がノッて来られたのか、肩をスイングさせたり、口ずさんでいた。
イヤホンをつけているので、ご自身がだんだん大きく声を出されていることに気がついていない。向かい合わせの席にいるので、その楽しげなダンシングな様子は自然と視界に入っているのである。
私の職業を知る知人は何か勘違いしている人もいて、探偵はバウンティーハンターのように逃げる者を追跡する非常にエキサイティングな職業のように思う人もいる。
探偵という職業は出来れば世間で思われるような面白く、おしゃれでカッコイイものではありたいのですが、どんな職業もそうですが、非常に地味で根気のいるもので簡単に言うならば、瞬時の判断力と長時間の緊張を要するものですと伝えています。
ある場所で、いつ動き出すのか不明な人物をじっと目視し続けることは、通常の人ならばその張り込みは10分が限界でしょうが、探偵は場合によっては1日、そして連日そこにいなければならないのです。
その終わりの見えない時間の中で決定的瞬間を確実に捉えることの厳しさは他に類を見ない職業でしょう。
依頼人の指定する日時は意味のあるもので、思う人物が現れた時に最高の緊張感の中、それは長年のキャリアから得るもので、次の二手三手を読みながら撮影を行います。
そして、女性では持てない重さの機材の入ったカメラバックを担ぎながら事務所に帰社し、黙々と報告書を作成する姿。
探偵は調査が終えてからも重要であり、その仕事の再確認をしながら長時間パソコンの前にいます。一日のその流れを深く知る相談員の私からすると、それが本物の探偵の姿であり、調査員方全員、カッコイイと思う瞬間かもしれません。
O氏の聴かれる音楽については、映画音楽から80年代洋楽は勿論、幅広いジャンルを楽しんでいるようです。
イヤホンから漏れ伝わる音楽とダンシングされている姿を見ると、その緊張を解かれた貴重な時間であると、このような時はけして話しかけたりしません。
音楽は時には、どんなお薬よりも効能があって、あっという間に気持ちをほぐしてくれ、その甘美な優美なメロディは心を身体を癒していきます。
私も最近はipodで清水翔太の366日を何回も何回も聴き、そのイントロに入った瞬間から癒されていくのを心で感じます。
O氏が、その音楽にノッているお姿を見ると、密かに耳を集中させ、曲名を知ると懐かしい音楽だなと20代を思い出します。
ちなみに流れていたのはシンディーローバーの「Time after Time」。
気がつけば流れる音楽のジャンルは次から次に変わり続けリズムを刻む。
時折シャウト感も微妙に入り、ノッておられる。かと思うと、しばし目を閉じて、じっとしていたくなるイージリスニング系の曲も聞こえてくるのでした。
戦士が羽を休めるしばしの、その休息の時間。
音楽の世界に没頭されているのでO氏はきっと何も気づいていないに違いない。
私も同じように音楽が流れれば非常にノリがいいので、ノッたり、踊ったり、映画音楽屈指の名曲「ロミオとジュリエット」のテーマが流れるとうっとりしたりと。
密かに、耳を集中させ曲名当てクイズを行い、O氏にばれないように口ずさむ。
私が非常に忙しくしていることを果たして、ご存知なのだろうかと・・。