素行 眠れない夜
2013年1月18日 カテゴリー:調査記
毎晩眠れなくなり、寝てもすぐに目が覚めてしまいます。
外が次第に明るくなるのを窓からずっと眺めているそんな毎日です。
交際して5年。
勿論、彼女とは結婚相手として考えながら付き合ってきました。
それは親しい仲間とのバーベキューパーティの時。彼女の視線の先にいつもある男がいることに気がつきました。皆、気のおけない仲間同士なのに、何故か以前とは違う、その二人の間にだけは依頼人だけしか感じない何かがあったという。
以前の飲み会に行った時、自分は参加しなかったのですが、後で聞くと帰る方向が違うのにも関わらず、二人が並んで歩いて帰って行く姿を見たと伝え聞く。
ただ、それだけで、浮気をしているとは断言できません。
しかし、その日あたりからでしょうか?
彼女の様子が変わったのは間違いないと思います。
何かを感じただけでは真意のない話で問い詰めることは出来ない。
問いただすにも何ら確証などありませんから。
彼女に疑問を投げかけることも出来ません。
失いそうになって、どれだけ彼女のことを愛していたかに気づかされます。
そして、その事実を知ることの怖さ。
真実を知れば自分は相手に彼女に何かしてしまうかもしれません。
二人を別れさせることは出来ませんか?
依頼者が男性の場合は男性の本来持つ強いパワー。
言葉では上手く表現出来ない時に、その秘めた大きな力を持って何かされないだろうかと不安があります。しかし、その心配をよそに調査で真実を知ったとたんに、次第に落ち着かれ、面談時とは全く違う表情、考え方に必ず変わっていかれます。
人間は物事を感覚的、視覚的にも感じることが出来るようです。
何かおかしなことがあればそれらを敏感に感じます。
そして、いつの間にかその目には見えないモノに支配されること。
それは、生活の全てを支配するかのように、全てを被いつくしていきます。
調査の結果を知り、確かに裏切られたと強いショックを受けました。
この5年間は一体何だったのか?
何故そうなったのか?考え抜きました。
浮気の中でも自分が知った人と関係があることのショックは言葉では表現出来ないほどの苦しみでもあります。
ただ、調査の結果を知った時から不思議なことに、あれだけ毎晩眠れなかったのが、その日の夜はぐっすり眠ることが出来たと言う。
いつの間にか朝刊がポストに入っていることを見た時は自分でも驚いたと。
仕事も手につかず、車の運転で事故をおこしかけた時。
はっきりさせなければいけないと思いやってきた依頼人でした。
調査会社に依頼を決意する方は、眠れない夜と、計り知れない程の心の葛藤と戦ってきた人達です。
面談時に、その依頼人の深い思いを知ると、それはただの思い過ごし、気のせいであって、何もなければいいのにと、ふと思うこともあります。
それでも、どんな方でも最後には男女の情愛のけじめをつけられるその姿。
ようやく普段の生活を取り戻される姿、毎回深く感じ入るのです。
やはり依頼人にとって真実を知ることは一番重要なことなのだと思い知ります。
きっと、実は、ご依頼された時から既に心の準備を知らぬ間にしていたのでしょう。
今はまだ、漆黒の闇の中であったとしても、その答えを知ると、不思議なことに。
ぼんやりと静かに明かりが徐々に灯されて行くかのようです。
眠れない夜を幾日も超えたからこそ、その小さな灯りは心を身体を癒します。
そして、いつの日にかその灯りは消えずに煌々と足元を照らす光に必ずなってくれるはずです。