素行 夫の浮気相手との旅行
2012年8月01日 カテゴリー:調査記
夫には間違いなく女がいます。
妻は決定打にするチャンスを待ちながら
そう確信すること数年。
夫が残業してきても、きっと女と会ってきたのだと思う毎日。
もう疲れ果てて、全てを終わりにしようと思った矢先でした。
夫が旅行を申し込んだ形跡を見て、それはその女と行くのではないかと確信。
これを最後の賭けにしようと思いました。
不思議なことに男性は浮気をしている時、数多くの証拠を残します。
携帯電話の履歴やメールだけでなく、もっと濃厚な親密な関係を匂わせる証拠。
プレゼントを購入したレシートなど、何故か形として残しているのです。
それを問い詰めても、口の上手い夫はそれは友人に頼まれたのだと言って
女性にプレゼントを渡しているシーンでも撮らなければ、浮気を認めない人です。
いくら話し合いをしたところで、じゃ!証拠はどこにある!と。
いつも悔しさだけが残る意味のない喧嘩で終わります。
その旅行は夫は仕事絡みと妻には言い訳して、前日から夫はもう何か浮き足立っている。
妻はもうこれが最後の夕飯になるだろうと思いながら料理を作りました。
このような場合、誰と旅行へ行くのか?
旅行は本当に仕事絡みであって、その後1泊ごまかして女性と接触するパターンもあります。
女性と会っている場合はどんな風に過ごしているのか?
勿論、不貞行為である宿泊シーンも押さえなければなりません。
調査の結果は妻の予想していた通りでした。
その女性との会い方、食事の仕方も結婚前の夫との時間の過ごし方そのものでした。
夫は女性とは長年連れ添った夫婦のように、若いカップルのように。
日常とは違うシーンなので、よもや探偵に全てを撮られているとも知らず
大胆にも当然のように、楽しい旅を過ごしていくのでした。
翌日のホテル内の朝食のシーンを撮り、女性が何者か自宅を判明させるため
旅が終わっても調査は続きます。
別れ際、女性が歩き疲れ、解けたサンダルの紐を夫は跪いて、結んであげている姿。
日頃、暴君である夫からは想像もつかない姿です。
調査の途中経過を伝える頻度が多くなるにつれ、妻は落ち着きを見せ始めました。
数年間も悩んだ結果が一日で判明したこと、想像でない現実を知ること。
どんなに激昂されている方でも真実を知ると、落ち着かれます。
自分や知人と追跡して、その現場に乗り込んで修羅場になるのとは全く違うのです。
相談員は対象人が動いている道中の時間も依頼人と同じ時間の中にいます。
依頼人は調査の当日の朝から家の用事も仕事も手に付かず過ごし、何とか
子供を寝かしつけて相談員の連絡を待っています。
今は雨が降っていますね、風が冷たいですね、満月ですね。
食事は済まされましたか?と。
調査報告だけでない、今、苦しい時間を過ごしている依頼人と一緒に過ごします。
そして、依頼人が納得されるまで、たとえ深夜であろうと許される環境ならば
メールではなく今の心境をじっくり聞いてこれからを一緒に考えます。
夫が仕事と称した旅の行き先は夫婦だけの問題でない家族の人生をも変えるものです。
最後まで調査をすることに躊躇した妻でしたが、はっきりとさせなければ
永遠に悩んでいたのではないかと、私はそう思っています。
どれだけ離婚が増えても、調査会社にご依頼される妻、夫の方達は全く違っていて
夫婦というのは、たとえどんな事があったとしても、簡単に切り離すことなど出来ない。
その依頼背景には積年の苦労や愛情が残っています。
数年経って、ご夫婦が家族と一緒に歩いている姿を偶然にも街で見ました。
暮らしの中では、妻は気が強く、口うるさい、自分にはもう愛情などないはずと思う夫。
最後にお会いした時、それでも夫をどうしても嫌いになれない・・・。
涙を流しながら、そう言った言葉や気持ち。
出来ればその思いの全てを夫にうまく伝えてあげたい。
これはきっと、相談員の職業についている者はいつも思うことです。
そんな気持ちをいつも残しながら、果たして相談員として関わらせていただいて
どこまでお力になれたのかと心残りがあります。
しかし、その後の家族と一緒にいる姿を見せられた時は、
私は元気でやっていますよ。
そう伝えて下さっているのだと思い、ようやく安心して心を閉じることが出来るのでした。