困った癖のある女
2012年1月31日 カテゴリー:調査記
人間、前を見て歩きます。
何処へ行くか絶えず目的を持って歩いています。
単なる時間つぶしで徘徊しているだけであったとしても、よほどストーカーにあったことでもなければ背後を常に気にしながら歩く人はそんなにいません。
ただ、対象人の中には感の鋭い人もいて、常に視線を意識、注視する癖のある人。
また、対象人の一部には心苦しいことばかりしているせいか、周囲を見回しながら動く人。
既に依頼人と修羅場になっていて、絶対にばれないようにと不可解な移動手段を使う人。
詐欺師など、住所不定の輩などは、警戒心は常に持って移動します。
尾行開始直後。
対象人の女性が商店街を歩き出し、店舗へ入ったあたりでしょうか。
通常考えられない勢いの非常に強い警戒行動。
依頼背景、依頼者の方をどう思いあぐねても何か別の事情を隠されているような心当たりもない。
調査員には絶大な信頼をしています。もし失敗すれば正直に報告しますし、失敗した場合のフォローの仕方も完璧です。
では、そのおかしな警戒行動は一体何か?
尾行中、余りにも対象人の警戒行動が多く見られる時は依頼者の了解の上、途中で調査を打ち切ることもあります。発覚すれば二度と調査が出来ません。
誰が依頼したのかと、深く追求され依頼者が窮地に陥ります。それは依頼者のためであって再度、調査を遂行させるためでもあります。
その多くは以前、他社で無理な追跡で失敗したことがあったのを隠されている。
依頼者自身の追跡行為がある、別の事情の背景を隠すなど。
何かしらこちら側の事情ではないこともあります。
こちらもプロ、いくら隠されても対象人の動き方ですぐわかります。
依頼者に連絡を入れるべき準備をしていると、調査員から連絡が入り、その謎が解けました。
対象人は盗癖のある女性。
金額の大小関係なく、チャンスがあれば万引きします。店内の徘徊、店を出る時、追手が来ないか確認します。小さな商店街のお店は監視カメラなどなく、店主ひとりでやっているため、混み合う時間をみて店の前に置かれたワゴンの品を盗って行きます。かつて、某ターミナル駅に積み上げられた土産品の饅頭の菓子箱をあっという間に持ち去り、電車に乗った対象人もいました。
当然依頼者にはありのままを告げます。
人間にはどうしようもない癖を持ってしまった方も多くいて、人の背後を見つめ続けることは辛いときもあります。
スーパーの万引き犯の見極め方の一つとして、万引きをする人は店内でもエコバックを広げて持っているそうです。
普通の人はレジで広げるか、精算が終わってから広げる。そういえば女性はエコバックのような袋を広げて持っていました。一度も支払いはないのにそのエコバックは写真で見るとどんどん膨らんでいます。
困窮している生活でもないのに手当たり次第盗んでしまう癖。深い信仰心を持った女性でしたが、罪深いことです。
思わぬ結果でしたが、これもまた真実を知ることが出来た意味のある調査だったかもしれません。何よりそのような困難な状況下、追跡し写真を撮った調査員方。依頼者より相談員の方が驚きを隠せないのでした。