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2011年4月07日 カテゴリー:雑記
実に憎めない愛すべき探偵のお話です。
「フォローミー」というタイトルですが、原題は「The Public Eye」
子供の頃にTVで見たのですが、なんてチャーミングな作品なのかと
ずっと心に残っていました。
ロンドンの街を背景に描き、登場人物は3人のみ。
アクションもなければ悪人も出てきません。
ある日、心を閉ざした妻の度重なる外出に不審に思った夫が浮気を疑い、探偵に依頼をするところから物語は始まります。
頼んだ探偵はヒゲ面で白のハンチング、白のコートの襟を立て、全身白ずくめ。
がに股でベスパに乗ってパンをかじり・・・・。
エスプレッソを飲みながら追跡するのです。
いやはや・・そんな目立つ姿で、飲んだり食べたりと・・。
途中、その仕事すら放棄しようとします。
どうなのかと疑問なのですが・・。
妻は、終始、1人で美術館を巡ったり、映画を見たり、公園でハトにえさをあげたり、ロンドン市内を歩き回ります。
探偵は連日の行動を見て、妻は浮気などしておらず、孤独で周囲から必要とされないことで街を彷徨っているだけなのだ・・と考えるのでした。
大胆なその尾行に気がついた妻も、おかしな男がついて来ると知りながら、そのユニークな人柄に惹かれ、つかず離れず一切の言葉を交わさずアイコンタクトで二人は街を彷徨います。
随所にユーモアを交えながらも、探偵は時に仕事を忘れ、その孤独の意味を探っていくのです。
そして、依頼人である夫がどれほど妻を愛しているのかも知り、探偵はキューピット役となって、とても素敵な仕掛けをもって、余韻を残しながら終わります。
この映画は最近ようやくDVD化されて、早速購入し私のお気に入りの棚に表紙を飾って置いています。
DVDのメッセージに映画監督の周防正行氏の言葉にこう書かれていました。
それにしても心配なのは、相変わらずの探偵の「孤独」だが彼の行為を知るものは「孤独」こそハードボイルドなのだと共感し、探偵を愛することになるかもしれない。
そういえば監督された「shall weダンス」でも、妻が浮気を疑い探偵に依頼する事務所のシーンでこの映画のポスターが壁にあり、それは一瞬でしたが私は見逃しませんでした。
この映画の大ファンのようです。